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マルチェッロ・マッスィミーニ、ジュリオ・トノーニ『意識はいつ生まれるのか』

人の脳において意識とは何であって、それはどのように生まれるのかを扱った一冊。脳神経科学者の書いた本。専門的ではあるものの、とても分かりやすい記述。文章を書くのがうまい。文学的な表現から、ある問題が出てきた背景や歴史、多様な実験、比喩などを駆使して、この魅力的な謎に挑んでいる。本の構成もよくできている。散文的な章から入り、意識にまつわる謎を提示して、意識はあれでもないこれでもないと読者を謎に導く。中...

甘利俊一『脳・心・人工知能』

数理脳科学という、脳の情報処理の数学的モデルを構築する学問を切り拓いてきた碩学が、その研究を平易に振り返ったもの。昔からこの人の名前はよく見てきたが、雲の上で凄まじく高度な研究をしている人という印象だった。本書はいきなり宇宙開闢から始まり、脳を備えた生物がいかにして地球上に誕生したかを述べる。その後は、三次に渡るニューロブームの展開に絡めながら、自身が切り拓いてきた分野について語る。このニューロブ...

松尾豊編『人工知能とは』

人工知能学会に連載されていたものの書籍化。日本の人工知能研究を牽引してきた専門家たちが、改めて人工知能とは何かを語っている。人工知能研究と言ってもアプローチは様々で、自然言語に定位したもの、ロボット、オントロジー工学、環境とのインタラクションなど。問いの立て方が人工知能というものを正面から見据えている。例えば機械学習の話はほとんど出てこない。そうした点では概念的な話が続き、あまり面白くはない。13名...

マイケル・ガザニガ『<わたし>はどこにあるのか』

〈わたし〉はどこにあるのか: ガザニガ脳科学講義認知神経科学者のギルフォード講義。一般向け講義を基にしていることもあり、かなり分かりやすい。豊富な実験の実例、心の哲学など他の分野への目配せなど、レベルの高い一冊。テーマは認知神経科学から見る、自我の問題。現在の脳神経科学からして、自我という概念はどのように位置づけられるのか。そして自我に必然的に付随していくる、責任の概念についてどう考えればよいか。原...

柄澤昭秀『精神医学入門』

精神医学入門学術的スタイルで書かれた精神医学の入門書。書いてあることは標準的なものといえよう。脳科学の一番基礎的なところから、精神障害として見られる主な現象、薬物療法と精神療法の基本的な対処。主要な精神障害の概要はなぜか第6章になって扱われる。最後に法と倫理の問題について。もちろん実務的な精神医学を念頭に書かれている。つまり、一般読者向けというよりは精神科医を目指す人向けの入門書。精神保健福祉法を...

B.キッチナー、A.ジョーム『メンタルヘルス・ファーストエイド』

専門家に相談する前のメンタルヘルス・ファーストエイド: こころの応急処置マニュアル身近な人が精神障害を抱えたらどうしたらいいのか。周りの人はまず最初にどのように対処すべきなのか。障害の基本的理解から、周りの人が取るべき行動までを書いている。初期対処の5ステップが「りはあさる(リハーサル)」としてまとめられている(p.26)。1 自傷・他害のリスクをチェックする(リスクのチェック)2 判断(はんだん)・批判を...

雄山真弓『心の免疫力を高める「ゆらぎ」の心理学』

心の免疫力を高める「ゆらぎ」の心理学(祥伝社新書294)人間の血流のゆらぎから精神状態を推測する試みについて。主に指先の毛細血管を流れるヘモグロビンの増減(指尖脈波)を測る。心拍に合わせて変動するが、その変動は規則的ではなくカオス的挙動を示している。しかし、ターケンス埋め込み法という技法で空間にプロットすれば規則的なアトラクターが得られる(p.26-30)。そのいみで、指尖脈波はランダムではなくカオス(規則が無...

越野好文、志野靖史『好きになる精神医学』

好きになる精神医学 第2版 (KS好きになるシリーズ)精神医学についての軽い入門的読み物。タッチは軽いが、中身はしっかり書かれている。ICD-10とDSM-V(とDSM-IV-TR)に基づいて、いくつかの精神病を取り上げ、病気の概要や治療法について書かれている。初めには基礎知識となる脳の構造について、PETやCTなどの検査機器についての概要記述もある。なぜか睡眠について一章が設けられているがやや浮いているようにみえる。精神医学の...

兼本浩祐『心はどこまで脳なのだろうか』

心はどこまで脳なのだろうか (神経心理学コレクション)(2011/05/01)兼本 浩祐商品詳細を見るとても面白い。癲癇を専門に扱う精神科医が精神病に関する現在の脳科学的成果を踏まえつつ、そうしたアプローチでは見えないものについて論じている。話題は認知における再認と、通時的な自我という主体に及ぶ。脳科学や精神医学のテキストが登場するのはもちろん、哲学(特に現象学と心の哲学)やフロイト的な精神分析学の知見が多く動員...

ジョセフ・ルドゥー『シナプスが人格をつくる』

シナプスが人格をつくる 脳細胞から自己の総体へ(2004/10/27)ジョセフ・ルドゥー商品詳細を見る主に恐怖による情動的行動の神経プロセスを研究している著者が、自分のアプローチから見えてくる脳の姿について語ったもの。題名からすると、シナプスの結合によってどのように人格が形成されるのかが書いてあるように予想される。だが人格というものを正面から見据えた記述は少ない。書かれているのは、人格形成を可能にするような脳...
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