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新清士『VRビジネスの衝撃』

VRの現状について書かれた一冊。簡単な歴史、現状の使われ方、アメリカや日本の状況、これからの展開について簡潔に書かれている。内容としてはオキュラスのヘッドマウントディスプレイによるVRゲームの話がメイン。それはVRの現状がそういうものだということだろう。VR(Virtual Reality)という言葉自体は1989年にジャロン・ラニアーという人が言い出したものだそうだ。この後、1990年台は一回目のVRブームになる。昨年2016年がVR...

小川さやか『「その日暮らし」の人類学』

著者はタンザニアを調査フィールドとする文化人類学者。タンザニアの人々の生き方から、その日暮らしで生計を立てる人々について語る。著者はこうした人々の経済から、先進国諸国で規範とされるような経済の姿とは違う経済のあり方を模索している。私たちの社会では、未来に起こることを予測し、それに向かっていま準備をしていくという未来優位の考え方が支配的である。また、技術や知識を蓄積し、活かしていくという生産主義的・...

小川さやか『都市を生きぬくための狡知』

アフリカ民俗学の博士論文が元になっている。しかし学術的な堅苦しさはあまりなく、極めて面白い。題材はタンザニア西部、ビクトリア湖に近いムワンザという都市における、零細商人たち。こうした零細商人は、現地スワヒリ語でマチンガと呼ばれている。語源は行商人(英語のmarching guy)から来ているようだ(p.3)。こうした人々は、経済基盤や商習慣の整った先進国からは想像もつかないほど異質な人々であることは、想像に難くな...

宮地ゆう『シリコンバレーで起きている本当のこと』

朝日新聞記者によるシリコンバレーのレポート。新聞に連載されていたもののまとめのようだ。そのためか、記述のレベルはかなり易しい。だが深いところには入り込んでいない。現地在住者のレポートであるが、ほとんど日本にいながらでも手に入る情報だ。現地メディアで話題になっていることをなぞった二次ジャーナリズムのように見える。独自の視点からの論点掘り起しは見られない。歴史や文化に踏み込むでもなく、技術に明るいでも...

ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ『ゼロ・トゥ・ワン』

本当に社会のためになるのは、これまでと「違う」ものだ。それが新たな市場の独占を可能にし、企業に利益をもたらす。最良のビジネスは見過ごされがちで、たいていは大勢の人が手放しで賞賛するようなものじゃない。誰も解決しようと思わないような問題こそ、いちばん取り組む価値がある。(p.220)既存の発想を超え、社会に価値をもたらすには。それを可能にするのはテクノロジーだ。テクノロジーとは、以前よりも少ない資源で多く...

ランダル・ストロス『Yコンビネーター』

シリコンバレーのスタートアップ養成所、Yコンビネーターの内実。64組が参加した2011年夏学期を通じて著者は居合わせることを許され、内実をとても鮮やかに描いている。Yコンビネーターのやり方にはもちろん賛否両論あるものの、この本はなるべく中立的に、だが活き活きと表している。Yコンビネーターのちょっとした由来から始まり、2011年夏学期に参加するための面談、3ヶ月に渡る養成の様子、投資家にアイデアを発表するデモデー...

キース・デブリン、ゲーリー・ローデン『数学で犯罪を解決する』

実社会で数学がどのように使われるかを平易に書いた読み物。もともとは、アメリカで放映されていた、数学者が犯罪捜査に関与して数学を使って犯人を割り出していく"NUMB3RS"というドラマの副読本。実際にドラマのストーリーの数学的部分の監修をしていた人物と、こうした数学読み物を多く書いている人物による共著。ドラマの解説本だが、特にドラマを見たことがある必要はない。ドラマ自体は、日本で言うと『ガリレオ』みたいなも...

林周二『経営と文化』

企業、軍隊、学術、労働、宗教などの各団体などのあらゆる個々の組織体とその活動は、いずれもそれに固有な文化にもとづいた行動をするにしても、下位の次元において、その組織体と活動とがよって生育している基底たる文化によって、具体的には言語、宗教、芸術、そしてそれらによって構成されたさまざまな秩序観(空間観、時間観、自然観、聖俗観等々)によって、深層的に強く規定せられている(p.241f)各種の組織体における意思決...

スティーヴ・ロー『データサイエンティストが創る未来』

ニューヨーク・タイムズの記者による本。データサイエンスの最近の応用について書いている。原題は"Data-ism"で、それはデータに基づく意思決定を重んじるマインドセットを意味している(p.14)。仮説を構築してからデータを見るのではなく、まずデータを見て何が言えるかを考える、「データ第一主義」とも言える。データ第一主義の精神の生みの親はテューキーだという(p.130)。本書は様々な人に取材をしている。だがいまひとつ何が...

栗田和明、 根本利通『タンザニアを知るための60章【第2版】』

ふとタンザニアに興味を持って、まずはこの本から読んでみた。本書はタンザニアを歴史や政治、文化など多面的に描いたもの。タンザニアに縁があり、タンザニアを好きな人々が様々なテーマで多面的に描いている。それぞれは短いエッセイの集まりのような本。タンザニアについての興味は、この国がアフリカにおいてユニークな国だからだ。タンザニアは平穏のうちに独立し、内戦もなく、ムスリムとクリスチャンがほぼ半々だが大きな宗...