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岩根圀和『物語 スペインの歴史』

テンポの良い読みやすい一冊。およそ15世紀から17世紀、スペインの黄金時代を中心に、その歴史の一コマを物語調で書いている。扱われるテーマは、スペインの歴史の有名なポイント。イスラムによるイベリア半島侵攻、キリスト教徒による国土回復運動、レパントの海戦、地中海のイスラム海賊に拿捕されて捕虜となったセルバンテス、スペイン無敵艦隊とイギリスとの海戦。最後には第二次世界大戦後のスペインとして、国民的詩人ガルシ...

グザヴィエ・バラル・イ・アルテ『サンティアゴ・デ・コンポステーラと巡礼の道』

サンティヤゴ巡礼について、多くの写真を載せて書かれたとても読みやすい一冊。巡礼者を描いた多くの彫刻や絵画、また教会建築などが写真付きで載っている。著者は中世美術史に明るい。サンティアゴにおけるヤコブ信仰の起こり、巡礼路としての成立、巡礼路の教会や修道院、そして目的地サンティアゴ・デ・コンポステーラについて扱われている。イエスの弟子ヤコブがサンティアゴに埋葬されているという伝説は古くからあった。9世...

レーモン・ウルセル『中世の巡礼者たち』

やや詩的な文体で、サンティアゴ・デ・コンポステーラをはじめとする中世の巡礼について記した本。中世において巡礼が果たした一般的な役割から、巡礼路の様子、『サンティヤゴ巡礼の案内』という12世紀の有名な本、そして巡礼路にある教会について書かれる。著者は中世の美術史・建築史に造詣が深い。主にフランス南部のロマネスク様式の教会建築について、細かく書かれている。とはいえ、教会一つ一つの建築様式を文字だけで追う...

渡部哲郎『バスクとバスク人』

スペインのバスク地方の研究で有名な著者が一般向けに記した本。ほぼバスク地域の歴史について時系列順に記している。読みやすい形態でもあるので、バスク地方の歴史についてしっかりしたことを知りたければ、最良の選択になる本だろう。バスクといえば19世紀以降のバスク民族主義が有名。しかし著者は「多様化するスペインと民族を前面に出した一元支配を固持するバスクという、今日の地域紛争の構図にフレームアップするのは短絡...

ピエール・バレ、ジャン・ノエル・ギュルガン『巡礼の道 星の道』

フランス人ジャーナリスト2名による、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの聖地巡礼について。著者自身もフランスのヴェズレーから1700kmの巡礼行を50日かけて行っている。その過程の日誌は本文ではなく、巻末に補遺のように収められている。本文にはおおむね12~18世紀の文献から、巡礼を行った人々や、巡礼行の経由地の様子について書かれている。私にとって面白かったのは著者たちの日誌のほうだった。これは1977年に行われて...

岩根圀和『物語 スペインの歴史 人物篇』

スペインの歴史から6名を選び、ちょっとした歴史小説タッチでその人物の特徴的なシーンを描く。対象は騎士エル・シド(ca.1043-1099)、女王フアナ(1479-1555)、聖職者ラス・カサス(1484-1566)、作家セルバンテス(1547-1616)、画家ゴヤ(1746-1828)、建築家ガウディ(1852-1926)。フアナでは城に幽閉される様子、ラス・カサスはセプルベタ博士との討論の様子。セルバンテスはちょっとひねって共同住宅で起こった傷害事件の様子。ガウデ...

立石博高ほか編『スペインの歴史』

近々スペインに行く機会があるので、いくつか関連する本を読んでいくことにした。まずは基本的な通史の本から。本書はスペインの先史時代からEC加盟までの歴史を扱っている。特徴としては、フランコ政権下でのナショナリスティックな歴史感から脱却しようとしている。それはスペイン民族という一体性の強調からの脱却、キリスト教徒、特にカトリックを中心とみる見解からの脱却、スペイン栄光の歴史からの脱却。よって、本書にはバ...

ジャック・ル=ゴフ『中世とは何か』

西欧中世の歴史研究家のインタビュー。ちなみに著者は「中世」という言葉を西欧以外の時代区分に使うことに疑問を呈している。インタビューワーに答えて、自分の研究史や、研究における主要主題について語っている。会話なので平易では在るが、精緻な論証などはない。話題が薄く次々と移っていくので、あまり印象は良くなかった。西欧中世への見方は、ルネサンス期に先立つものとしての暗黒の中世と、カトリックによる統一のもとに...

岡田英弘『中国文明の歴史』

中国史について書かれた概説書。簡潔な記述で、黄河文明からおおよそ日清戦争までを扱っている。著者の見立てでは中国文明は三期に分かれる。本書ではその前後を合わせて5期に区分している(p.24)。秦の始皇帝による統一までの中国以前の時代(~前221年)。隋の文帝による統一までの第一期(前221~後589)。元のフビライ・ハーンによる南宋の攻略、南北統一までの第二期(589~1276)。日清戦争での敗戦までの第三期(1276~1895)。そしてそ...

富永智津子『ザンジバルの笛』

ザンジバル島の歴史と文化について。現地の国立文書館で仕事もしていた著者による一冊。学術的な趣はあまりない。記述はしっかりしていながらも軽いタッチの記述になっている。歴史の部分は、オマーン帝国以前、オマーン帝国支配下、植民地時代に分かれている。オマーン帝国の支配下になる以前から、ザンジバル島はインド洋の季節風貿易で栄えている。ザンジバル島周辺に拡がるスワヒリ文化の起源は、シュングワヤとシラジにあると...
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