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キャス・サンスティーン『選択しないという選択』

人々の選択する場面を設計する選択アーキテクチャにおいて、デフォルトが機能する条件について。デフォルト・ルールはいつでも有効なわけではなく、能動的に選択させたほうが適している場面もある。また、機械学習などによって高度に個別化されたデフォルトが今後有効になっていくことを論じる。私たちの生活は選択にあふれている。しかし選択がなされる社会的状況を省略するのは不可能。何らかの選択アーキテクチャはいつも必要と...

水野祐『法のデザイン』

意欲的な一冊。テクノロジーの進展などにより、法がそれまで想定しなかった状況において、法の規定が問題になることが多く起こる。こうした状況と、どう対処して制度設計していくかについて。著者は音楽やアートなどのクリエイターとの協働、またクリエイティブ・コモンズ・ジャパンの理事も務める弁護士。第一部が一般論、第二部が各分野における各論となっている。各論では音楽、アート、写真、ゲーム、ファッションなどの先端的...

小向太郎、石井夏生利『概説GDPR』

GDPRことEUの一般データ保護規則についての概説書。GDPRについては入門的な本から逐条解説まで出ているが、この本は日本の個人情報保護法と比較する形で、表やフローチャートを交え、GDPRの特徴を浮かび上がらせている。逐条ではないが内容をテーマごとにまとめて記している。分かりやすい良書。内容はGDPRの概説、規制内容、法執行体制、日本企業の対応について。最後に著者たちの対談が載っている。日本法との対比はとても参考に...

鈴木正朝、高木浩光、山本一郎『ニッポンの個人情報』

個人情報保護法制に関わってきた専門家たちによる鼎談をまとめたもの。2015年刊なのでいまでは古さを感じるが、個人情報保護法やその関連法令が成り立ってくる生の場面が伺える。法制定をめぐる国の委員会などでの、裏表合わせた駆け引きが描かれる。日本の法律がどうやってできてくるかの一場面を活写したものとしても読める。サブタイトルにあるように、個人を特定する情報(典型的に氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの...

山本龍彦編『AIと憲法』

AIの普及がもたらす法的問題について、様々な観点から各論者が論じた、450ページほどに及ぶ重厚な一冊。総じて議論のレベルは高く、この分野における法学者の関心の高さがうかがえる。AIと憲法というタイトルは一見、奇妙な取り合わせに見える。しかし、AIの普及は憲法が前提としている近代法の基礎、特に自由な意思決定を行う自律的個人という考えと衝突する。結局問題になるのは、社会的な承認・選択の主体である我々を構成する...

平野晋『ロボット法』

法学者による、自律型ロボットがもらたす法的問題についての概観。まとまりよく、また分かりやすくしっかり書かれている。法律のみならず、人工知能の倫理的な問題に関心があるなら一読すべき一冊。ロボット法という特定の法律分野があるわけではない。しかし自律型ロボットの発展は早く、それにまつわる問題を考えておかなければ手遅れになる可能性がある。ロボットやAIの最近の発展スピードが速すぎて、これを正しく利活用するた...

福田雅樹、林秀弥、成原慧編『AIがつなげる社会』

総務省情報通信政策研究所の「AIネットワーク社会推進会議」およびその前身にあたる「AIネットワーク化検討会議」での議論に基づき、各著者がAIが社会実装された場合の様々な問題についてそれぞれ論じている。特徴はAIネットワークと称して、AIを搭載したソフトウェアやロボットが単独で動くのではなく、他のAIと協働して動く点を特に考慮に入れていること。また、多少とも未来の論点で具体的なイメージを持ちにくいことに対して、...

ウゴ・パガロ『ロボット法』

ロボットがもたらす法的問題について、法哲学の立場から詳細に検討を行った一冊。ロボットといっても様々なものがある。ロボットの応用は極めて多様であり、規範的課題を検討するうえで一般化をすると失敗する(p.xiv)。本書で検討されるのはドローンや自律型致死兵器システム(LAWS)から、外科手術ロボットであるダヴィンチ、自動運転、金融トレードロボット、NAOやAIBOのようなペットロボットなど。本書ではこれら様々なロボットを...

弥永真生、宍戸常寿編『ロボット・AIと法』

とても面白かった。機械学習による予測の発展と、それを処理プロセスに組み込んだロボットが普及していくにあたって生じる法的問題について、それぞれの著者が論じている。国内・国外の法政策の動向から、近代の法システムが前提とする自由で自律した個人という考えの批判、契約や責任、刑事司法、知的財産権、ロボット兵器といったトピックが扱われている。扱われているトピックは多様。なかには現在すでに問題が生じている契約、...

野口祐子『デジタル時代の著作権』

著作権という制度が、デジタル技術の進化によってどのような影響を受けているか。著作権法が抱えている根本的な問題は、100年以上前に決められた法律の枠組みでありながら、ベルヌ条約などの国際条約により変更せず維持するよう求められていることだ(p.16)。特にベルヌ条約の第27条第3項には、条約の骨子の改正は、加盟国164か国の全員一致でなければ変えられないという規定がある(p.89)。そもそも馬車の時代に作られた法律の枠組...

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プロフィール

坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)

Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。
しかし博士号は取らずPh.D. Candidateで進路変更。
哲学と特に関係なくIT業界に住んでいる。

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