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足立紀子『ゲルギエフ」

ロシアの現在のクラシック音楽界を牽引する指揮者、ヴァレリー・ゲルギエフについての本。本というよりは、60ページ強のブックレット。ゲルギエフの生まれからの評伝と、本人インタビューから見える音楽観が書かれている。ゲルギエフは生まれはモスクワだが、成長期を北オセチアのウラジカフカスで過ごす。自身のアイデンティティはロシア人ではなく、オセット人。スケールが大きく堂々としたその音楽は、たしかに北オセチアの険し...

井出祐昭『見えないデザイン』

見えないデザイン ~サウンド・スペース・コンポーザーの仕事~空間における音の設計を行う仕事をしている著者が、その来歴を含めて多様な仕事の様子を語ったもの。通常言われる楽曲としての音楽とは違って、環境における音楽がいかにあるか。あまり類を見ない発想が多くて話は面白い。新宿駅の発車チャイムのような話なら、いまは普通の話になっているので取っ付き易い。それでも、駅の騒音のなかできちんと注意喚起をしつつ不快感...

荒井曜『分子の音』

分子の音 身体のなかのシンフォニーとても不思議な本。分子の構造や機能を計算科学的に研究している中村振一郎氏と、音響の専門家の井出祐昭氏による仕事の記録。やっていることは分子運動の動力学的データから個々の分子の違いが明確になるパラメーターを選び、その値を人間の可聴域の周波数に割り振る。すると特定の分子の特徴をよく表す「音楽」が得られることになる。付属のCDにはこの結果に基づき、音楽家が演奏したものが収...

渡辺裕『聴衆の誕生』

聴衆の誕生 - ポスト・モダン時代の音楽文化 (中公文庫)(2012/02/23)渡辺 裕商品詳細を見る18世紀のモーツァルトの時代あたりから、西洋古典音楽がどのように聞かれてきたかを追った一冊。整理し過ぎかなと思える感じもあるが、総じてとても良くまとまっているし、読んでいて面白い。原著は1989年で、当時(というには少し時代が遅いが)のポストモダン的な解釈図式から論じられている。主に18世紀をプレモダン、19世紀をモダン、2...

エミール・ヴュイエルモーズ『ガブリエル・フォーレ』

ガブリエル・フォーレ―人と作品(1981/06)エミール・ヴュイエルモーズ、家里和夫 他商品詳細を見るガブリエル・フォーレ(1845-1924)の人とその音楽作品について、フォーレの弟子であった人物が記した本。師であるフォーレに対する深い愛情が随所に現れている、温かい気持ちのこもった本だ。同時に、フォーレがあまり評価されていない現状に対して残念な思いを随所に記している。例えば次のように。厳格で融通の利かぬ、単に学者ぶっ...

金原礼子『フォーレゆかりの地を訪ねて』

フォーレゆかりの地を訪ねて(1997/12)金原 礼子商品詳細を見る19/20世紀のフランスの作曲家であるガブリエル・フォーレについての本。基本的には伝記的にフォーレの生涯を追っていくのだが、この本の面白いところはフォーレが実際に滞在したところに著者も行ってみて、その土地の情景やエピソードを語っていること。フォーレの伝記と並んで旅行記も兼ねている。記述のタッチは柔らかく、読んでいてとても面白い。フランスやドイツ...

ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード(下)』

ダ・ヴィンチ・コード(下) (角川文庫)(2006/03/10)ダン・ブラウン商品詳細を見る終了。終わりがよく分からない。ここまで様々な謎解きを続けてきたわりには、どうにも明らかにならずに終わってしまった。...

ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード(中)』

ダ・ヴィンチ・コード(中) (角川文庫)(2006/03/10)ダン・ブラウン商品詳細を見る引き続き。内容はまあまあ面白い。マグダラのマリアの系譜をローマ・カトリック教会が必死で隠蔽してきた、という筋はあまりに陰謀史観的。ただの作り話ならいいが、事実だと主張するには話が浅い。...

金聖響、玉木正之『マーラーの交響曲』

マーラーの交響曲 (講談社現代新書)(2011/12/16)金 聖響、玉木 正之 他商品詳細を見るスポーツライターの触発を受けながら、著名な指揮者の金氏がマーラーの交響曲について語り下ろした一冊。第一番から大地の歌を含んで第10番まで各章に分かれて書かれている。語り下ろしという形でもあり、非常にカジュアルで楽しい内容。とても人間くさい内容とでも言えばいいだろうか。時代背景やマーラーその人についても語られるが、多くは...

ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード(上)』

ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)(2006/03/10)ダン・ブラウン商品詳細を見る超有名なミステリー小説。ルーブル美術館で館長が殺害された事件をめぐり、宗教象徴学者と暗号解読班員が謎を解いていく。テンポがよいし、場面がさっと切り替わるので読んでいてリズムが心地よい。小説を読むのは相当久しぶり(2年ぶりくらい)だが、西方キリスト教の神秘主義とパリ案内を兼ねて読んでいる。そんなに記述は事実でもないようだが。...