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『現代思想 2017年12月臨時増刊号』

久しぶりに現代思想を買った。特集は分析哲学。いまの分析哲学の流れを概観できるようになっている。昔は中心的なトピックだった言語哲学は背景に退き、心の哲学や形而上学が大きな割合を占める。また、実存哲学や政治哲学など従来は分析哲学とは遠いと思われていたトピックも扱われるようになっている。秋葉、倉田の両氏による形而上学のとてもクリアな解説や、太田、井頭の物理主義や自然主義についての整理はとても面白く参考に...

マルティン・ハイデガー『現象学の根本問題』

ハイデガーの1927年マールブルク大学夏学期講義録。『存在と時間』刊行直後の講義で、『存在と時間』で論じられたテーマが異なる視点で語られている。戦前の日本から流布していた私家版からの翻訳。もともと、全集邦訳版に収められているものがあまりに意味不明な悪訳のため、版権の問題で私家版の翻訳という妙な形になっている。講義録ということもあり読みやすい。各講義時間の冒頭に語られた、ここまでの振り返り(前回のおさら...

納富信留『哲学の誕生』

ソクラテスについて。プラトンの対話篇に現れれるソクラテスを中心に書くのではなく、同時代においてソクラテスがどう捉えられていたのかを中心に据える。ソクラテスと言えばプラトン、アリストテレスと並んで古代ギリシャの偉大な哲学者。しかしその偉大さは後世の評価。その後世の視点からソクラテス、プラトン、アリストテレスを評価しても、それは彼らを巨人として扱ってきた西洋哲学の伝統から見ること。よって、結局は巨人と...

森三樹三郎編訳『墨子』

森三樹三郎による編訳。原文は掲載されておらず、訳文のみ。墨子は春秋戦国時代は儒教と並ぶ隆盛を誇ったが、衰退。散逸したテキストが集められたのは清朝になってからという。そのため、テキストの重複、欠損、意味不明な箇所も多い。どう見ても墨子の時代より後に書かれたものが、墨子に帰せられているものもある。訳者は墨子の思想の特徴をよく表すテキストを選出し、訳出している。墨子の思想と言えば兼愛交利。国の治安が乱れ...

加地伸行訳注『論語』

原文、読み下し文、訳文と解説つき。昔一度読んだけれど通読できなかった。今回はあるきっかけで読みはじめて、通読することができた。ある程度の年齢や経験を重ねていないと、何を言っているのかよく分からない本なのだろう。基本的には国のリーダーなど君主格の人に対して、民衆にどう接すればよいかを扱っている。ただし、本書では君子は教養人と訳され、単にリーダーにとどまらない広い意味を与えようとしている。聖人君主の理...

金谷治『中国思想を考える』

中国の思想のうち主に儒教と道教について書かれた一冊。中国思想の発展の歴史をたどることによって解説する本ではない。中国思想に見られる5つの特質を取り上げることによって、中国思想の独自性を明らかにしようとしている。この5つの特質とは、合理主義、 対待、中庸、死生一如、天人合一。おそらく一般向け講演をもとにして書かれた本のようで、とても平易で分かりやすい。歴史的経緯は追わないものの、中国思想の特徴がうまく...

梅原猛『仏教の思想 <上>』

それは、今や仏教は重要な思想的意味をになっているのに、まだ仏教は、わが国の多くのひとびとに、あまりにも知られていない。仏教の思想の中には、多くの宝が隠されているのに、その宝にういて、わが国のひとびとは、まったく無知なのである。もしも、多くの仏教学者が、未発掘の宝石を見いだす真理の坑夫であるならば、その宝石を、日本の多くのひとびとに伝える宝石の展覧人が必要なのではないか。(p.18f)もともとは十二巻本で...

井筒俊彦『意識と本質』

むしろ積極的に、意識を超えた意識、意識でない意識をも含めた形で、意識なるものを統合的に構造化しなおそうとする努力を経てはじめて新しい東洋哲学の一部としての意識論が基礎付けられるのであろう。またそこにこそ東洋的意識なるものを特に東洋的意識論として考察する意義がある、と私は思う。(p.101)ユダヤ、イスラム、インド、中国、日本の各思想を縦横無尽に渉猟。事物の本質とそれを認識する意識、という構図に各思想を類...

イマニュエル・カント『カント全集10 たんなる理性の限界内の宗教』

カントの理性哲学からする宗教の位置付け。タイトルは「端的に言って宗教は理性の限界内にしかない」ではなく「単に理性の範囲内からしか論じたにすぎない宗教論」の意味であろう。つまり全面的な宗教論ではないという遠慮がある。何に対する遠慮かというと、聖書神学を旨とする神学部。哲学者、というより大学の哲学部に属する教授が、宗教について語ることの慎重なエクスキューズが見られる(p.13-17)。哲学者が論じる限りでの宗...

信原幸弘、太田紘史編『新・心の哲学 III 情動篇』

シリーズ第三巻は情動について。どちらかというと認知に偏りがちな心の哲学にあって、情動をメインに取り上げたのはとても面白い試み。本書で取り上げられているのは情動とは何か、という一般論だけではない。一般論を扱っている論文は一つだけ。後は、誘惑と自己制御、先延ばし、自己欺瞞、妄想といった具体的で身近な事例。情動によって判断が左右されるような事例が、どのように説明できるのかを巡っている。試みは果敢だが、い...

Appendix

プロフィール

坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)

Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。
しかし博士号は取らずPh.D. Candidateで進路変更。
哲学と特に関係なくIT業界に住んでいる。

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