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峰如之介『なぜ、伊右衛門は売れたのか。』

サントリーのメガヒット緑茶飲料である伊右衛門の誕生ストーリー。短い本であるし、記述はジャーナリスティックで簡潔。あまり商品開発の深いところは伝わってこないが、身近な商品の開発秘話が聞ける。話題の中心となっているのはブランドマネージャーの沖本直人氏、商品開発の牧秀樹氏、デザイナーの水口洋二氏といったメンバー。彼らがどんな状況で、どんな想いで伊右衛門を作り出していったがか分かりやすく書かれている。例え...

ヤンミ・ムン『ビジネスで一番、大切なこと』

競争相手を無視せよと言っているのではない。消費者と同じ目で見ることが重要なのだ。消費者の目にはぼんやりとカテゴリー全体が見えるだけで、個々のブランドは映っていない。この不鮮明さから抜け出すこと。それが「違っている」ということなのだ。(p.161)なぜこんな凡庸な自己啓発本みたいなタイトルを付けてしまったのだろう。このタイトルのせいで本書は埋もれてしまっているように思われる。原題を訳せば「違い 競争する群...

グロービス『ストーリーで学ぶマーケティングの基本』

ストーリーで実際のマーケティング上の判断が求められる状況を示しつつ、マーケティングの基本について書いた本。5つのストーリーがあり、5章からなっている。マーケティングの基本とはいえ、ポジショニングや4Pといった伝統的なマーケティングについては前半の二章を当てるのみ。後半の三章は、顧客インサイトを探り顧客深層心理に基づく商品化、SNS等ネットでのコミュニケーション、イノベーションによるビジネスモデルの創出...

恩藏直人、ADK R3プロジェクト『R3コミュニケーション』

ソーシャルメディアが発展普及した現在において、いかにして消費者にブランドを浸透させるか。企業はどのように消費者とコミュニケーションを行えばよいか。広告代理店アサツーディ・ケイが実践してきたものを理論的にまとめたもの。とても見通しよく書かれている。実践において使えるポイントが多い。提示したフレームワークを使って、様々な企業の実際のキャンペーンを分析していて、それぞれの記述は簡潔ながら事例も豊富だ。こ...

石井淳蔵他『ゼミナール マーケティング入門 第2版』

重厚な教科書。マーケティングについて450ページほどで多くの事柄が書かれている。特徴としては、いわゆるマーケティングの本らしくない。STPや4Pといったマーケティングミックスのような話は100ページほどですぐに終わる。その後は、マーケティング施策を直接的に反映できるような組織とはどういうものかといった組織論。また、市場の競争構造の理解。そしてCRMと、狭義ではマーケティングに入ってこないような話題が多くを占めて...

グロービス経営大学院『改訂3版 グロービスMBAマーケティング』

MBAコースのマーケティング教科書。とてもよくまとまっている。マーケティング戦略の策定からPEST, SWOT分析。STPの手順。その後、4Pマーケティングミックス。次いで応用編として、ブランド戦略、リサーチ、競争戦略、CRM、生産財マーケティング、グローバルマーケティングとある。市場の機会はあるものではなく、発見した事実を基に作り出すもの(p.23, 34f)というメッセージ。マーケティングは企業と市場との対話方法だが、機会を...

和田充夫、恩蔵直人、三浦俊彦『マーケティング戦略』

こちらはビジネススクールや経営学部の教科書。実務的な本ではなく、企業が行うマーケティング活動を理論的にまとめたもの。マーケティングの4Pを中心としつつ、企業が商品を通して市場とか変わっていく仕方を整理している。教科書なので無味乾燥に近い記述も多い。実務では直接使える本ではないが、整理の仕方や概念を巡る議論に面白さを感じるところがある。例えば、製品ライフサイクルという概念の自立性への疑念。製品ライフ...

安原智樹『この1冊ですべてわかる マーケティングの基本』

マーケティングの基本がうまくまとまっている良書。それまでバラバラに知っていた知識を統合することができた。主に新商品開発のマーケティングとして解説している。既存商品育成、B2Bビジネス、製品財ではなくサービス財のマーケティングについては、新商品開発の場合との違いとして書いている。まず、新商品開発フローとして書かれている6ステップ(p.36-38)がよかった。戦略の3ステップ(企業環境の分析、新商品コンセプト開発、...

森岡毅『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?非常に面白い一冊。マーケティングの現場から、アイデアをいかに生み出し、それをいかに実現していくか。P&GからUSJのマーケティング担当者として転職した著者。著者が入社した2010年頃のUSJは当初の勢いを失っていた。年間入場者数は低迷。社内の雰囲気も守りに入るものだったという。著者はマーケティングの専門家としての戦略立案と、それを実現する強い熱意をもってUSJを変...

佐藤義典『実戦マーケティング思考』

実戦マーケティング思考 「論理思考&イメージ発想」スキルを鍛える7つのツール(2009/03/21)佐藤 義典商品詳細を見る良書。論理的に整理して考えることと、具体的なイメージを用いて発想することのバランスを取る方法について書いている。収束と発散の技法。世の中には実現性のあるアイデアを次々と思い浮かぶアイデアマンと呼べる人がいるが、こうしたものは才能ではなくてスキルだ。スキルを習得すれば誰にでもアイデアは出せるの...