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小林昭七『続 微分積分読本 多変数』

多変数の微分積分。いきなりn次元の一般論を展開するのではなく、2変数の場合をほとんどの中心としている。外積の話で3変数に関わるので、そこだけは3変数として展開。図形の表現や、一見して思い浮かばないような反例も豊富。薄い本であるがとても分かりやすい方に入るだろう。1変数の場合との違いは、微分関数の連続性にあるようだ。合成関数の連鎖律、平均値定理は1変数では関数の微分可能性だけが要求されるが、多変数の場合は...

トルケル・フラーセン『ゲーデルの定理』

こうした文章に「論理的に言って」のようなフレーズが含まれていることは、不完全性定理に触発された頓珍漢な推論の多くがもっている注目すべき特徴である。(p.144)不完全性定理についてありがちな誤解を取り上げることによって内容を解説した一冊。内容は論理学的にしっかりして記述となっている。まず第一不完全性定理、第二不完全性定理について内容を確認した後、よくある誤解がなぜ間違っているのかを解説する。それらは初等...

平岡和幸、堀玄『プログラミングのための線形代数』

線形代数について初歩から書かれたとても素晴らしい本。しっかりと学びたい人に適している。題名には「プログラミングのための」という文字が入っている。これは数値計算や近似についても扱われているから。プログラミング言語のコードが出てくるわけではない。コンピューターサイエンスへの応用を視野に入れた上での、線形代数の解説になっている。根本的な発想として、行列は写像だとしている(p.25)。行列を単純な数の並びと見る...

守屋悦朗『離散数学入門』

離散数学入門 (情報系のための数学)コンピューターサイエンスのための数学を基礎レベルで書いたもの。まとまりとしてもレベルとしてもとても良い本だ。集合論や帰納法の話から始まり、グラフ論、一階の命題論理と述語論理、アルゴリズムと確率を扱っている。発展的話題は著者のウェブサイトで補完するようになっている。練習問題もしっかりしており、また解答もきちんと載っている。大学一年生レベルの自習に適している。だいたい...

サイモン・シン『暗号解読』

暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで古代から現代までの暗号の歴史を描いた有名な本。技術的背景に支えられた説明の上手さ。豊富な実例とあまり知られていない事実の発掘。レベルが高い記述にもかかわらず平易に読める。暗号の歴史展開に興味がある人の必読書だろう。暗号のアルゴリズム自体は、もちろん話の展開上解説されるものの、そんなに難しい解説はしていない。単純な文字の置き換え(cipher)のような昔の暗号から始...

圏論の歩き方委員会『圏論の歩き方』

圏論の歩き方圏論についての本。この本は圏論の入門書ではないし、圏論の研究本でもない。純粋な圏論研究者以外の人たちが集まり、圏論の使われ方について語ったもの。圏論はそれ自体だと抽象的で、何をやっているのか分からなかったりする。もともと(出自は代数幾何学が多いが)何らかの数学的構造があって、それを抽象化した結果として圏論ができている。そして抽象化が一度なされれば、似たような構造が他の分野にも発見される...

『数学セミナー 2015年 11 月号』

数学セミナー 2015年 11 月号 [雑誌]特集「コンピュータにできる数学・できない数学」。照井さんの寄稿があったので読んでみた。内容は自動証明系の話が多い。他にも同分野で有名な人の寄稿があるが、概説レベルのものが多い。あまり深い記述という感じではないし、合計でも30ページに満たない。この分野の話は目にすることも少ないので、ちょっと残念。Voevodskyのホモトピー型理論について言及している記事がいくつかある。ず...

照井一成『コンピュータは数学者になれるのか?』

コンピュータは数学者になれるのか? -数学基礎論から証明とプログラムの理論へ-数学基礎論についての実に素晴らしい一冊。このような本が読めることはとても幸運だ。数学基礎論や計算機科学は極めて面白い問題がたくさんあるのだが、入り口のハードルが高いこともあってなかなか平易な本はない。第一線の研究者がこのレベルの分かりやすい本を出すのは素晴らしい。タイトルからはいま流行りの人工知能の話に見えるが、そうではない...

新井紀子、新井敏康『計算とは何か』

計算とは何か (math stories)(2009/10/07)新井 紀子、新井 敏康 他商品詳細を見るおそらく高校生か大学生くらいを想定読者として書かれた数学の読み物。主眼は計算とは何かを考察することを通じて、日頃学んでいる数学がそれぞれどう関連しているかのイメージを与えることにある。そして計算可能性の理論へ誘う。理論と計算は違うという冒頭に出てくる議論(p.vi)は面白くて、最初の動機付けとしてよい。数記号の意味はよく分かっ...

志賀浩二『数学という学問 III』

数学という学問〈3〉概念を探る (ちくま学芸文庫)(2013/03)志賀 浩二商品詳細を見る本巻ではカントルの無限集合論をメインに扱う。数直線や平面といった数の捉え方を離れて、単なる点や要素としての数の捉え方を評価する。また、ボレルによる測度論を経てルベーグによる革命的な積分論を扱っている。カントルについてはデデキントとの交流を踏まえて、かなり詳細にその展開を追っている。ハレ大学でのハイネの出会いから三角級数の...