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竹内繁樹『量子コンピュータ』

読者に何とか分かってもらおうという著者の思いが伝わってくる名著。量子コンピュータの面白さと分からなさを知るには、これが一番だと思う。きわめて平易な語り口をしていて、数式も控えめながら、書かれている内容はハード。量子力学の基本的な解説、確率波と重ね合わせから始まる。量子コンピュータのアルゴリズムとして、ドイチュ・ジョサ、グローバー、ショアのアルゴリズムを何とか逃げずに解説する。量子コンピュータを物理...

石井茂『量子コンピュータへの誘い』

量子コンピュータについて平易に語ろうとしたもの。『日経バイト』という科学雑誌に連載されていたものだそうだ。たしかに語り口は柔らかだが、量子コンピュータについてはあまり分かった感じがしない。むしろ、その周辺の話題についてはよく書けている。量子コンピュータから話は始まる。だがしばらくは量子力学が生まれる歴史的過程について。磁気によるスペクトル線の分裂であるゼーマン効果(p.38-43)を出発点として、原子の内...

西森秀稔、大関真之『量子コンピュータが人工知能を加速する』

とても明快な一冊。量子アニーリング方式による量子コンピュータについて、第一線の研究者が平易に記している。昨年くらいから流行っている一冊。単なる一回の流行ではないしっかりした本。量子力学や量子計算の解説はとても控えめ。それゆえ、中心となる量子アニーリングの解説にはやや不満が残る。この本が対象とするレベルでは仕方ないか。前半は量子アニーリング方式のコンピュータを製造した、カナダのD-Waveを中心に話が進む...

竹内淳『高校数学でわかるボルツマンの原理』

良書。エントロピーを巡って、熱力学と統計力学の両方の観点から解説している。単なる読み物ではなくて、数式はたくさん出てくる。ボルツマンの原理S=kblogWの導出に向けて、必要最低限の概念を説明している感じ。それゆえとてもすっきりした話になっている。熱力学のパートは類書と変わらない印象。エントロピーはカルノーサイクルにおいて保存される量として熱と温度から定義される(p.106f)。やはり熱力学の範囲では、定義してみ...

都筑卓司『なっとくする熱力学』

熱力学の副読本。とかく熱力学はつかみにくい分野だが、様々な例を挙げて理解を助けようとしている。熱にまつわる現象、物質の三相(固体・液体・気体)について、カルノー・サイクルなどが語られている。カルノー・サイクル以降は流体力学や量子力学などの話が絡んできて発展的であるとともに、話題がややバラバラであるとも見える。水という物質の異常性が何度か強調されていて興味を引く。水はもっともポピュラーな液体のように...

吉田伸夫『宇宙に果てはあるか』

宇宙に果てはあるか (新潮選書)(2007/01/24)吉田 伸夫商品詳細を見る宇宙物理学について書かれた一冊。宇宙の組成や歴史、恒星が輝くメカニズム、ブラックホール、元素はどうやって作られたか、等々の話題を扱っている。それらを数式を使わず、また現在主流となった見方が発展してきた歴史をたどる形で語られている。科学の歴史は単線的なものではなくて、仮説の立案とその検証の繰り返しだ。アインシュタインをはじめ、いかに天才...

中田宗隆『なっとくする量子化学』

なっとくする量子化学 (なっとくシリーズ)(2001/11/16)中田 宗隆商品詳細を見る量子化学の入門的解説書。本の使い方としては、量子化学の初歩の学習の副読本だろう。まったく数式を使わずに学問領域の雰囲気を伝える本ではない。これくらいの数式があったほうが理解はしやすい。この本は日常的な現象を話の枕にしたり、化学ジョークも交えていたりして面白い。量子化学は電子の軌道という考え方を中心にして、原子や分子の結合の仕...

吉田伸夫『素粒子論はなぜわかりにくいのか』

素粒子論はなぜわかりにくいのか (知の扉)(2013/12/05)吉田 伸夫商品詳細を見るタイトルの答えを書いてしまえば、多くの素粒子論の通俗解説では素粒子をピンボールの球のように解説しているからだ。そうした自立した存在として素粒子を描いてしまうと、素粒子が別の素粒子に変わることや、力の担い手としての素粒子というのが理解し難くなる(p.17)。また、こうした描き方は粒子と波動の二重性を謎のままにしてしまう。それは数式を...

筒井泉『量子力学の反常識と素粒子の自由意志』

量子力学の反常識と素粒子の自由意志 (岩波科学ライブラリー)(2011/04/28)筒井 泉商品詳細を見る量子力学における実在性の概念を巡って、平易に書かれた一冊。タイトルに「素粒子の自由意志」という怪しい文言が入っているが、まともな本だ。後述するがこの自由意志とは、決定論的でないということに過ぎない。本書はアインシュタインらの有名なEPR論文を中心として、量子力学における実在性の問題を扱う。EPR論文のポイントを紹介...

野本憲一編『岩波講座 物理の世界 地球と物理の世界〈3〉元素はいかにつくられたか』

岩波講座 物理の世界 地球と物理の世界〈3〉元素はいかにつくられたか―超新星爆発と宇宙の化学進化(2007/09/27)野本 憲一商品詳細を見る超新星爆発を始めとする星の進化と終焉の中で、様々な元素がいかに作られていくかを解説したもの。この本は単独の著者ではなく7人で書かれているので、似たような話が出てきたりもする。核融合によって水素からヘリウム、鉄まで徐々に形成されていく過程、またそれが0.1秒ほどで重力崩壊により...

Appendix

プロフィール

坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)

Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。
しかし博士号は取らずPh.D. Candidateで進路変更。
哲学と特に関係なくIT業界に住んでいる。

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