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遠山啓『無限と連続』

無限と連続―現代数学の展望 (岩波新書 青版 96)(1952/05)遠山 啓商品詳細を見る名高い名著。集合論、群論、幾何学について。読みやすさと数学的厳密性をうまくバランスを取っている。きちんと数式を使いながら、面白さを伝えようとしている。素晴らしい力量だ。クラインのエルランゲン・プログラムの解説も極めて秀逸なものだ。個人的には曲がりなりにも基礎は学んだ分野なので、そう新しい発見があるわけではなかった。幾何学の知...

多田富雄、南伸坊『免疫学個人授業』

免疫学個人授業 (新潮文庫)(2000/12)多田 富雄南 伸坊商品詳細を見るかの有名な多田富雄が著者とはいえ、基本的にはもう一人のエッセイストが書いたものだ。免疫学の素人が書いた講義ノートに基づく。多田氏のチェックが当然入っているだろうが、今ひとつ深みがない。おまけに、その前後にはセンスのない文章が垣間見られ、かなりがっかりだ。本文の学問的厳密性まで失われてしまうような感じになってしまった。エッセイを書くなら...

相良亨『日本人の心』

日本人の心 (UP選書 (233))(1984/12)相良 亨商品詳細を見るこれは実に実に素晴らしい本だ。日本人の心の特質と一般に考えられるものについて考察する。つまり、和の尊重、武士道精神、誠実性の追求、秩序への態度、持続することの価値評価、あきらめ、死生観、自然観。これらを『古事記』から明治以前の文献に至るまで縦横無尽に引いて、探求していく。特に興味を持ったのは、以下のような箇所。冒頭の西行の「情」についての話。...

田中一之編『ゲーデルと20世紀の論理学 (1)ゲーデルの20世紀』

ゲーデルと20世紀の論理学(ロジック)〈1〉ゲーデルの20世紀(2006/07)田中 一之商品詳細を見るゲーデルについてこのような、全4巻にも及ぶシリーズが刊行されること自体、驚くべき事だ。しかも、単に不完全性定理のみを扱うのではない。一般的にはなぜか看過されがちな完全性定理、集合論でのAC, GCHのNBGへの無矛盾性証明まで扱われる。さらに、巻を挙げてではないが、ダイアレクティカ解釈や、古典論理から直観主義論理への翻訳...

久野収、鶴見俊輔『現代日本の思想』

現代日本の思想―その五つの渦 (岩波新書 青版 257)(1956/11)久野 収鶴見 俊輔商品詳細を見るこれは凄まじい本だった。思想とは、単に「思想家」と呼ばれる人たちの頭の中にあるのではない。むしろ現実社会にあるものであって、人々を動かすものだ。それは「思想」という形で考えたことのない人たちの中にも、中にこそ、ある。何よりも感銘を受けたのは鶴見俊輔の鮮やかな文体。極めて論理的で明晰な文章。各所でキーポイントとなる...

読売新聞クルマ取材班『自動車産業は生き残れるか』

自動車産業は生き残れるか (中公新書ラクレ)(2008/04)読売新聞クルマ取材班商品詳細を見る読売新聞の一面で続けられた、自動車産業に関する連載レポートをまとめたもの。残念ながら、あまり面白くはなかった。大概は知った論点で、新たな刺激や視点などは得られなかった。もっと掘り下げた議論やレポートが読みたかったのだが。新聞の一面ではそんなに掘り下げるわけにもいかないだろう。狭いスペースで毎回まとめなければならない...

ルートヴィヒ・フォイエルバッハ『キリスト教の本質(上)』

キリスト教の本質 (上) (岩波文庫)(1965/01)フォイエルバッハ商品詳細を見るフォイエルバッハによる、キリスト教批判の本。ここで展開されるのは、キリスト教の人間学だ。神とは何かと問うのではなく、神を求める人間は何をしているのか、なぜ人間は神を求めるのかという問いである。その論点は、次に簡潔に言い表されるだろう。「神とは、人間の人格的な本質が、世界とのあらゆる連関の外部に措定され、自然に対するあらゆる依存...

ブライアン・グリーン『エレガントな宇宙』

エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する(2001/12)ブライアン グリーン商品詳細を見る名著。500ページを読み切るのはなかなか大変だけれど、読みやすい。相対性理論の重力場の話や、スリット実験からファインマンの経路積分に触れるあたりの説明は素晴らしい。本題のひも理論に入るとやはり難しい。とくにカラビ・ヤウ空間、超対称性、非摂動論の辺りは著者も説明を尽くそうとしているが、かなり抽象度が高い。ひも理論の解...

C.K.プラハラード、ゲリー・ハメル『コア・コンピタンス経営』

コア・コンピタンス経営―大競争時代を勝ち抜く戦略(1995/03)ゲイリー ハメルGary Hamel商品詳細を見る邦題は誤解を招きやすい。確かにコア・コンピタンスについての本であるが、主眼は未来戦略だ。まだ見ぬ市場、まだ見ぬ製品に向かっていかに戦略を練っていくか、についての本。未来戦略とはいえ、ただ闇雲に展開すればよいのではない。コア・コンピタンスに基づいて展開しなければならない。未来を展望するには、過去を忘れなけ...
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