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福島章『犯罪精神医学入門』

犯罪精神医学入門ー人はなぜ人を殺せるのか (中公新書 (1796))(2005/05/26)福島 章商品詳細を見る素晴らしい本だ。特に大量殺人、猟奇的な殺人等を何らかの精神障害によって犯した人物について、その分析を行う。個々の事例に基づいて分析されるため、理論的で抽象的であってもあくまで具体的。一見して理解不可能なように思えるその言動を、見事に読み解いていく様は爽快感を覚える。特に、バランス感覚に優れている。脳の微細な...

長谷川眞理子他『シリーズ進化学7 進化学の方法と歴史』

進化学の方法と歴史 (シリーズ 進化学 (7))(2005/05/28)長谷川 眞理子八杉 貞雄商品詳細を見る進化学の歴史と方法について。前半の進化論の歴史や、進化生物学の成立にて着いてはよく書けている。すっきりしていて読みやすい。後半は数理生態学の話なので、やや難易度は高い。ただレベルは抑えられているので、専門的な者ではない。集団遺伝学の紹介でよく聞くような話。数理生態学の紹介での、ゲーム理論の導入は面白かった。ゲー...

アンソニー・ギデンズ『近代とはいかなる時代か?』

近代とはいかなる時代か?―モダニティの帰結(1993/12)アンソニー ギデンズ商品詳細を見る社会学者ギデンズによる、近代の分析。現代をポストモダンとして捉えることに反対。モダニズムがより進んだ、ハイモダンの時代であると見る。近代を生み出した要素、近代を支える要素を分析し、その進展の先に本当のポストモダンを見据える。ギデンズによれば、モダニティを生み出す要素は三つ。(1)時間と空間の分離。時計の普及や世界標準時...

山村吉信『SEのためのソフトウェアテストの基本』

SEのためのソフトウェアテスト (SEの現場シリーズ)(2003/12/06)山村吉信商品詳細を見るこういう本って教科書的な基本は分かるのだが。概念的にもまとまっているし、分かりやすく書いてある。資格試験対策にはなるし、基本はしっかり学べる。でも使えるだろうか。網羅率に基づく単体テストや、信頼度成長曲線を根拠にしてテストの終了を宣言することなど、実際に行われているのだろうか。きちんとしている会社はやっているというこ...

トーマス・ピーターズ、ロバート・ウォーターマン『エクセレント・カンパニー』

エクセレント・カンパニー―超優良企業の条件(1983)T・J・ピーターズR・H・ウォータマン商品詳細を見るいわずとしれた有名な本。批判も多い。特に、ここで取り上げられた会社で、その後混迷を深めたものが多いというのはよく聞く。だが、「私たちがあげた超優良企業も、おそらく永遠に優良ではありつづけないのだろう」(p.195)。今から読めば問題があるにせよ、その当時通用したものは、それが通用したなりの理由がある。今からは荒...

岩田正美『現代の貧困』

現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書)(2007/05)岩田 正美商品詳細を見る貧困は見えない。本書を要約するとそうなるだろうか。こうも経済成長を遂げた日本でも、貧困はずっと存在している。ここ最近は、貧困層が増えたような論説が多いが、さしたる根拠はない。何をもって貧困とするかすら、一致していない。だから、貧困の増減についての一貫した統計もない。貧困は見えないのだ。まず冒頭の貧困の定義に関...

レオポルト・インフェルト『ガロアの生涯』

ガロアの生涯―神々の愛でし人(2008/08)レオポルト インフェルト商品詳細を見るあまりにも有名な本。19世紀初頭、フランス革命の時代を生きた数学者、ガロアについて。10代のときその後の数学史を変える、ガロア理論を生み出す。熱心な共和主義者で、20歳で決闘で死んだ。あまりにも破天荒で、ドラスティックな生涯。本書はその生涯を、想像力豊かに小説の形で描き出した。様々な文献に基づきつつ不足は創作で補う。小説風の...

ハーバート・サイモン『システムの科学』

システムの科学(1999/06)ハーバート・A. サイモン商品詳細を見る著者は1978年のノーベル経済学賞(ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞)受賞者。邦訳の題名はややミスリーディング。原題は「人工物の科学」。自然物と人工物を対比。人工物が特有に必要とするアプローチを検討する。経済学、経営学の分野を始め、心理学、論理学、進化学、都市工学、デザイン工学と話題の範囲は広い。人工物が自然物と違う大きな点は、ある目的の...

中根千枝『タテ社会の人間関係』

タテ社会の人間関係―単一社会の理論 (講談社現代新書 105)(1967/02/16)中根 千枝商品詳細を見る原著1967年。社会人類学の視点から、日本社会に類型化される単一社会の社会構造を描き出したもの。まさに、不朽の名著。40年以上経つ現在でも、日本社会の基本構造について大きな説得力を持つ。必読である。著者は、社会の人間関係を主に二つの要素によって構成されると見る。それは場所と資格である。資格とは個人の何らかの属性で...

マイケル・リンド『アメリカの内戦』

アメリカの内戦(2004/06)マイケル リンド商品詳細を見るこの手の本はいま読むとだいぶ古く感じる。ブッシュ前大統領の政治傾向を、彼が生まれ育ったテキサスの特質から描く。原題は"Made in Texas"「テキサス育ち」。テキサス州はもともとメキシコ領。それが1836年に独立し、テキサス共和国となる。これがついで1845年にアメリカに併合され、テキサス州となった。そのため、独立気質が強いとされる。テキサスにはもちろんヒュース...