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西原稔『ピアノの誕生』

ピアノの誕生―楽器の向こうに「近代」が見える (講談社選書メチエ)(1995/07)西原 稔商品詳細を見るこれは面白い。実に楽しい。ピアノという楽器がどう生まれ発展し、社会のなかでいかなる位置を占めていったのかを探る、音楽社会学の試み。単なるピアノ楽曲の移り変わりについてだけではない。ピアノという楽器の仕組み、手工業から大量生産への移行、大衆芸術の成立、ピアノ製造業者の浮沈まで。イギリス・アクションとウィーン・...

コリン・ウィルソン『ユング』

ユング―地下の大王 (河出文庫)(1993/09)コリン ウィルソン商品詳細を見る精神分析家ユングの評伝。特にオカルト思想との関わりについて。とはいえ、単なるオカルト思想家としてのユングを描くのではない。ユングは、精神分析をなによりも自然科学として確立しようとしたフロイトの弟子。その精神を引き継ぐユングは、あくまで科学的であろうとする自らの姿勢と、オカルト思想への強い興味のはざまに立たされる。苦悩しつつも、オカ...

ジェームズ・ワトソン『二重らせん』

二重らせん (講談社文庫)(1986/03)ジェームス・D・ワトソン中村 桂子商品詳細を見る言わずと知れた名著。DNAが二重らせん構造をしているという大発見をした当事者が、その発見への過程を語る。素晴らしい発見をもたらす科学者の思索の過程。また、ライバルとの熾烈な競争。そして、研究資金を獲得するための苦労話なども聞ける。だが、期待したほどには面白くなかった。どうも小節調の文章は相変わらず苦手。登場人物はファースト...

スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー『ヤバい経済学』

ヤバい経済学 [増補改訂版](2007/04/27)スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー商品詳細を見る経済学というよりは、計量社会学といったほうが通るかも。様々な統計データを分析して、一般に思われているのとは違う社会の姿を見ていく。着眼点が面白い。また、ジャーナリストが一緒に書いているので書き方がうまい。読んでいてなかなか痛快。第一章の、学校の先生がテストをごまかすやり方を抽出するアルゴリズムの...

マービン・バウワー『マッキンゼー 経営の本質』

マッキンゼー 経営の本質 意思と仕組み(2004/03/05)マービン・バウワー商品詳細を見る戦略系コンサルティングファーム。昔は老経営者が勘と度胸と経験でアドバイスするようなものだった。それを、事実を豊富に集め、理論的に戦略を構築する形の現在の姿にしたのが、マッキンゼーのバウワー。この本はバウワーがその豊富な経験に基づいて記した経営の本。いまから読むと、よく聞く話が多い。戦略やビジョンの大切さ、経営における誠...

朝永振一郎『物理学とは何だろうか(下)』

物理学とは何だろうか 下  岩波新書 黄版 86(1979/01)朝永 振一郎商品詳細を見るすごい。恐れ入った。上巻が素晴らしかったので、下巻もだいぶ期待していた。それを遙かに上回る内容だった。稀有な名著とされるだけはある。上巻はカルノー、クラウジウスらが熱力学の基本原理を発見するまでだった。下巻は主に、それとニュートン力学をいかに調和させていくかを巡る。ボルツマンが議論の主題で、マクスウェルがそれを補佐するよ...

田川建三『キリスト教思想への招待』

キリスト教思想への招待(2004/03)田川 建三商品詳細を見るいつも通りの田川節。痛快な皮肉。ときおり暴走する文体もまた楽しい。こういう視点を持つことができ、また書くことができる力量には圧倒される。必ずしも内容には共感できないが。キリスト教の典型的な思想から四つを取り上げて、キリスト教思想(というより田川思想)を語る。四つとは、自然神学、隣人愛、救済、終末論。自然神学の章では、人智を越えた自然の精緻さ、美...

福沢恒『プロジェクト・マネジメント』

プロジェクト・マネジメント―実践的技法とリーダー育成(2000/02)福沢 恒商品詳細を見るプロジェクトマネージャの役割を「三つのN」にまとめ、その技法と注意点を述べていく。プロジェクト率いていくNavigatorとしての役割。チームを単なる個人の力の総和以上のものとする、Netenabler(著者の造語。あまりよくない)としての役割。そしてチーム外の様々な要因をコントロールし、プロジェクトのリスクを管理するNegotiatorとしての...

入来篤史編『言語と思考を生む脳』

言語と思考を生む脳 (シリーズ脳科学 3)(2008/11/20)不明商品詳細を見る人間の言語と、それを可能にする脳の構造について。それを霊長類や鳥類などの比較を通して述べる。いい論文もあるが、特に論文や実験データを論じるでもない、抽象的で生煮えな論文もある。こういう本なので、しっかりとした議論も読める。例えばブローカ野が構文論的処理、ウェルニッケ野が意味論的処理に関わるという見取り図がある。それに対し、様々なデ...

砂田利一『バナッハ・タルスキーのパラドックス』

バナッハ・タルスキーのパラドックス (岩波科学ライブラリー (49))(1997/04)砂田 利一商品詳細を見るバナッハ・タルスキーの定理の証明について。その証明に使われる技法を分かりやすい形で解説。定理の雰囲気を伝える。巻末には証明が乗っているが、証明自体を味わう本ではない。ラピュータという仮想国の言語を持ち出して、自由群の話をする辺りは面白かった。無限についての一般的な問題を扱うところもあり、やや散漫な印象を受...
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