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佐藤研『聖書時代史 新約篇』

聖書時代史 新約篇 (岩波現代文庫)(2003/05/16)佐藤 研商品詳細を見る新約聖書を巡る歴史。ナザレのイエスが生まれる時代(B.C.30頃)から、キリスト教と呼べる宗教共同体が姿をなす2世紀までを扱う。特色は、当時のローマ帝国の政治状況、またユダヤ教共同体の政治状況をともに記していくところ。原始キリスト教、と呼ばれることもあるイエス処刑直後の時期を、「ユダヤ教イエス派」と捉える。この時期はいまだユダヤ教の内部に...

リチャード・ブックステーバー『市場リスク 暴落は必然か』

市場リスク 暴落は必然か(2008/05/22)リチャード・ブックステーバー商品詳細を見る経済学者から転身、投資銀行のトレーダーを経てリスクマネジメントの専門家に。現在はヘッジファンドで運用を担当する。まさに現代金融の中枢部を歩いてきた著者による、金融市場のリスクについての本。原題は「我々の創りし悪魔」。もっといい邦題にならないものか。ちなみに原著は2007年なのでサブプライム問題についての本ではない。帯のセリフ...

村田全『日本の数学 西洋の数学』

日本の数学 西洋の数学―比較数学史の試み (ちくま学芸文庫)(2008/09/10)村田 全商品詳細を見る西洋数学と、日本の数学たる和算の比較数学史。円の面積を求める求積問題と、円の長さを求める求長問題に焦点がある。分量的には古代ギリシャからヨーロッパの西洋数学についての方が多い。その流れと対比するように、和算が取り上げられる。和算が荻生徂徠から衒学的、理論のための理論だとの揶揄を受けながら、とはいえ西洋数学のよう...

戸部良一他『失敗の本質』

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)(1991/08)戸部 良一寺本 義也商品詳細を見る日本軍はなぜ大東亜戦争に負けたのか。組織論の研究者たちがこの問題を、日本軍の組織上の問題として分析する。アメリカとの比較を通して浮かび上がってくるのは、日本軍の特質。陸軍は日露戦争、海軍はバルチック艦隊との対馬海戦での成功体験を忘れることができない。かくして陸軍は歩兵中心の白兵戦闘主義、海軍は戦艦同士の艦船決戦主義...

加藤忠史『双極性障害』

双極性障害―躁うつ病への対処と治療 (ちくま新書)(2009/01)加藤 忠史商品詳細を見る双極性障害。別名、躁鬱病として知られる病気について、基本的知識とその治療の展望を概説する本。双極性障害は、一見鬱病に似ているが、原因も対処法も違う。双極性障害は二つに分類される。躁状態が激しい双極Ⅰ型と、さほど激しくない双極Ⅱ型。特に後者は、軽い躁状態にある本人にとってはむしろ快活とした感じを覚え、とても病気には感じられな...

ニコラウス・アーノンクール『古楽とは何か』

古楽とは何か―言語としての音楽(1997/06/01)ニコラウス アーノンクール商品詳細を見るバロック時代の古楽演奏を切り開いた指揮者として有名なアーノンクールの音楽論。19世紀ロマン派以降の音楽の眼でバロックを扱うことがいかに間違っているかを力説。概説的な論文もあれば、記譜法、アーティキュレーション、オーケストレーション、果ては演奏会場の音響に至るまで、バロック時代の細かな論点を扱ったものも。音楽は言葉では表現...

デビッド・ヴァイス、マーク・マルシード『グーグル誕生』

Google誕生 ?ガレージで生まれたサーチ・モンスター(2006/05/31)デビッド ヴァイスマーク マルシード商品詳細を見るこれは面白い。おすすめ。かのGoogleを創立した二人のGoogleguyであるSergey BrinとLarry Pageのサクセスストーリー。数学教授や計算機科学の教授を父に持つ、まさに知的エリート層の二人。彼らがGoogleを設立し、大きく発展していく過程。ジャーナリストばりの鋭い筆致で描かれている。特に、ウォール街ばりの短期...

井筒俊彦『イスラーム文化』

イスラーム文化-その根柢にあるもの (岩波文庫)(1991/06)井筒 俊彦商品詳細を見る日本のイスラム学の泰斗。ここまで分かっている人は過去にいなかったし、今後もいないだろう。凄まじい人だ。いまこそ彼の書いたものが必要とされる。日本にはこの人がいた。僥倖だ。イスラムの文化を、コーランを中心として語ったもの。聴衆はビジネスマン。だからか、とても平易で分かりやすい。キリスト教や仏教との比較、またイスラム文化の現...