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杉山将『イラストで学ぶ 機械学習』

機械学習のアルゴリズムについて主に数学的側面から扱った本。こうした本としては最初の方に読むものなのだろう。初学者にはややきついところもある。だがとても面白い。記述はしっかりしていて、決して説明を端折った本ではない。最小二乗学習を基本として、損失関数と制約条件の組み合わせでアルゴリズムを解説する。扱われているアルゴリズムは様々な制約付きの最小二乗学習から始まり、制約を変えることでスパース性やロバスト...

信原幸弘編『シリーズ心の哲学 I 人間篇』

とても良い本。現代の心の哲学の主要トピックを論じた各論文からなる。それぞれは著者自体の立場を問わず、主に物理主義の観点から書かれている。基本的には議論状況の優秀なサーベイ集。トピックは心的因果、志向性、クオリア、素朴心理学、自己知。それぞれがよくある誤解や典型的な反論を丹念に扱いながら、中心的な議論を扱っていく。物理主義は心の哲学のトピックに対するものとしては無理のある議論も多い印象。もちろん現代...

小林雅一『AIの衝撃』

第三次AIブームの広がりをたどり、今後における問題点を綴ったもの。事実の解釈について疑問に思うところはあるが、しっかり調べて書いてある印象。深層学習についての解釈はあまり納得しなかった。深層学習は「大脳視覚野の認識メカニズムに基づく」(p.27)としているが、これは当てはまってもCNNだけだろう。画像認識で高い性能を示したニューラルネットが音声検索や同時通訳にも応用されるようになったと書いている(p.238)ので、...

安原智樹『この1冊ですべてわかる マーケティングの基本』

マーケティングの基本がうまくまとまっている良書。それまでバラバラに知っていた知識を統合することができた。主に新商品開発のマーケティングとして解説している。既存商品育成、B2Bビジネス、製品財ではなくサービス財のマーケティングについては、新商品開発の場合との違いとして書いている。まず、新商品開発フローとして書かれている6ステップ(p.36-38)がよかった。戦略の3ステップ(企業環境の分析、新商品コンセプト開発、...

エリック・リース『リーンスタートアップ』

つまりリーン・スタートアップとは、サイクルタイムの短縮と顧客に対する洞察、大いなるビジョン、大望とさまざまなポイントに等しく気を配りながら、「検証による学び」を通じて画期的な新製品を開発する方法なのである。(p.31)リーン・スタートアップについてのバイブルで、実に素晴らしい本だ。現場の知識が盛り込まれている。経営の実践から培われた事柄が、事例を豊富に交えながら書いてある。それでいてとても読みやすい。い...

ハンナ・アーレント『人間の条件』

人間の条件 (ちくま学芸文庫)政治哲学の名著。古代ギリシャから中世哲学、マルクスまで多くの知識を総動員しており、読むのはなかなか骨が折れる。人間が生きているうちに行う事柄を「観照的生活」(vita contemplativa)と「活動的生活」(vita activa)に分ける。観照的生活とは真理を追求する哲学者のような生活で、思考がその最たるものとなる。観照的生活は本書でメインに扱うものではない。本書の特徴は、活動的生活を労働la...

マイケル・ルイス『マネー・ボール』

マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)1990年台後半から2000年台初頭、アメリカの野球球団オークランド・アスレチックスを舞台にしたノンフィクション。映画化もされた有名な本。アスレチックスは選手たちに支払う年俸がニューヨーク・ヤンキースなどのトップ球団に比べて3分の1以下なのにも関わらず、同等の成績を上げていた。本書は、アスレチックスのGMだったビリー・ビーンという人を中心に、そのから...

黒田俊雄『寺社勢力』

寺社勢力―もう一つの中世社会 (岩波新書 黄版 117)鎌倉時代を中心にして、いわゆる旧仏教勢力、顕密仏教を描いたもの。奈良時代・平安時代を経て寺社勢力が成立する過程、本寺・末寺や荘園支配といった支配体制、寺社内の位階秩序や意思決定の仕組み、僧の典型的なキャリア、政治勢力や鎌倉新仏教との関わり、地方寺社。そして室町末期から戦国時代にかけて寺社勢力が衰退していく様を描いている。「寺社」勢力なので神道も記述の...
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