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ハーバート・サイモン『システムの科学』

システムの科学システムの科学
(1999/06)
ハーバート・A. サイモン

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著者は1978年のノーベル経済学賞(ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞)受賞者。邦訳の題名はややミスリーディング。原題は「人工物の科学」。自然物と人工物を対比。人工物が特有に必要とするアプローチを検討する。経済学、経営学の分野を始め、心理学、論理学、進化学、都市工学、デザイン工学と話題の範囲は広い。

人工物が自然物と違う大きな点は、ある目的のために作られていることだ。著者の観点からすれば、芸術作品もある目的のために作られていることになるだろう。人工物は、その物を構成する物質(内部環境)を持って、それが属する外部環境に目的を達成しようとする。内部環境と外部環境のinterfaceに人工物はある。

自然物はそこにある。自然物は分析するものだ。それに対する学問は様々な基礎科学である。人工物はそこにはない。人工物は総合し、作り出すものだ。それに対する学問は工学となる。この二つの物に対するアプローチはまったく違う。自然物の科学に要求されるのは、厳密性と最適解である。人工物の科学が必要とするのは、ともかく作れること。有用性と満足解である。

満足解という概念はとても重要なものだ。人工物の制作は、素材や時間の限りのなかで行われる。著者はそれを都市工学、社会設計、デザイン工学の例をとって流麗に説明する。満足解を求めることを旨とする学問のアジェンダが、ここにはある。

疑問を感じる点は多い。例えば芸術作品はいかに分析されるか。また、義務論理はいらないという主張は引っかかった。義務論理の代わりに、様々なパラメータと効用関数を用いた分析で解は得られるという。だが、「もっとも効用の高いパラメータのセットを採用<すべき>」なのはなぜか。その問いはメタレベルに退いただけだろう。

本書は人工物に対する新たな科学を探し求める。まだまだ手探り段階。アプローチとして緊密な統一が取れているわけではない。ここでも最適解でなく、満足解を求めるべきか?理論の構築、という工学的問題であるなら。
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