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岩田正美『現代の貧困』

現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書)現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書)
(2007/05)
岩田 正美

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貧困は見えない。本書を要約するとそうなるだろうか。こうも経済成長を遂げた日本でも、貧困はずっと存在している。ここ最近は、貧困層が増えたような論説が多いが、さしたる根拠はない。何をもって貧困とするかすら、一致していない。だから、貧困の増減についての一貫した統計もない。貧困は見えないのだ。

まず冒頭の貧困の定義に関する議論は素晴らしい。漠然と貧困について考えていた者は、まずここで考えを正される。特に印象に残ったのは、生活保護基準の話。生活保護の基準は、ある程度、貧困の定義として機能している。だが実際には、保護基準以下だが保護を受けていない人は多くいる。実際、法定最低賃金は保護基準以下だ。生活保護の基準は、行政が定めるもの。これを貧困の定義としてしまうと、行政の事情で貧困ラインが上下する。生活保護基準の周辺に存在する、本当の貧困が見えなくなってしまうのだ。

また、これは各所で言われることでもあるが、貧困層の固定化がデータを挙げて論じられる。近年は誰もが貧困に陥る可能性がある、明日は我が身、とも語られる。バブル崩壊後ならリストラされたサラリーマン、現在なら派遣切りされた期間労働者、などがエピソード的に挙げられる。だが、著者によればこれらの取り上げ方は貧困の実態を隠す。貧困層への流入ではなく、貧困から抜け出せない人たちに目を向けるべきだ。

かくして、どういう人たちが貧困から抜け出せなくなるのか、の分析が続く。配偶者との離死別や学歴など。そして貧困層の流動化を貧困解決の一助として提案して本書は終わる。

抽象的に理論的に議論するのか、エピソードで印象的に語るのか、統計データに語らせるのか。そのバランスがやや散漫にも感じるが、その視点は確かなもの。著者の言うとおり、貧困は見えない。そこに何があるのか、意識的に見ていかなければならない。
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