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ソロモン・ヒューズ『対テロ戦争株式会社』

対テロ戦争株式会社―「不安の政治」から営利をむさぼる企業対テロ戦争株式会社―「不安の政治」から営利をむさぼる企業
(2008/10/22)
ソロモン ヒューズ

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民間軍事会社(Private Military Company)についてのレポート。PMCはかなりダークな部分が多く、知られていることはわずかだ。その点ではこの本がもたらす情報はかなり貴重なものだろう。特に、PMCの由来については役立つ。それは、イギリスではサッチャー政権の「小さい政府」政策の下で、刑務所などの運営に当たった民間会社を起源としている。またアメリカでは、労働争議や環境団体の抗議を排除するために存在した警備会社に。さらに、アフリカで様々な内戦のなかで雇われていた傭兵に。

国民国家の成立以前では、傭兵は当たり前だった。例えばスイス兵などが有名だ。国民国家において国家が警察力・軍事力を独占した。しかし「民営化」の流れで自国の民間会社にその権力が一部委譲される。そして、その会社がグローバル化することにより、再び傭兵の時代が訪れる。政府は金だけ出せばいい。後のリスクは民間会社が負う。民間会社の問題を、政府が負うことはない。

数々のPMCの由来、政府に取り入ってきた経緯などが語られる。だが、大部分は「醜聞」である。ひたすら醜聞が続くので、かなり辟易させられる。確かにPMCは、問題があって軍隊や警察を辞めた人物の再就職先となっているし、政府の要人へのコネを使って活動する。いきおい、醜聞は多いだろう。だが、PMCではないし、軍事会社でもない会社--例えば、野村証券、ユニシス--についても醜聞だらけ。これではあまりに偏向しているのではないか。

貴重な情報をもたらす本ではあるが、著者の姿勢にはすこし疑問を抱かされる。もっと中立的な視点で書いてほしい。
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