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朝永振一郎『物理学とは何だろうか(上)』

物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)
(1979/01)
朝永 振一郎

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物理学の大家が語る、物理学史。とても平易に語られながら、視点の鋭さを感じる。素晴らしい本だ。

上巻は二部に分かれる。第一部はケプラー、ガリレオ、ニュートン。この三人の物理学を見ながら、占星術や錬金術の中からいかにして近代的な物理学が立ち上がってきたかを見る。ケプラーがケプラーの法則をどのように発見したのか。ガリレオの説いた、実験の必要性とは。とてもよく書けている。思わず引き込まれる。ただ、ニュートンの見方にはちょっと疑念を抱いた。ニュートンにおいて、それまで物理学と混濁していた占星術や錬金術が取り払われ、近代的物理学が成立するかのような像が描かれている(p.87)。現在の科学史研究からすれば、ちょっと疑問を抱く。また無限小について、ニュートンのやり方に従えば、曖昧なく定義できると述べられている(p.96)。その内容は書かれていないが、にわかには信じがたい。

第二部は熱力学の成立について。これを蒸気機関という技術の発明と絡め、科学と記述の関わりを横目に見ながら話が展開される。熱力学の成立は、カルノー機関を中心にして語られる。やや込み入った話も出る。個人的には、クラウジウスの発想を巡る話がとても面白かった(p.180)。当時、ジュールやトムソンといった物理学者は、熱と仕事についての大きな問題に悩んでいた。それは、熱から仕事を取り出すとき、常にそれより低温の物体への熱の移動が必要だ、ということ。熱が熱素ではなくエネルギーなら、熱を持つ物体そのものから直接エネルギーを取り出せてもよさそうなものだ。しかし、熱は常に低温への移動においてしかエネルギーを取り出せない。クラウジウスは、この問題を解決するのではなく、これが熱の本性であると捉え直す。そして熱力学の第二法則、エントロピーの概念の成立へと一気に向かっていく。この過程の記述はスリリングだ。

さすが第一級の物理学者。とても感銘を受けながら読んだ。下巻も楽しみだ。
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