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スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー『ヤバい経済学』

ヤバい経済学 [増補改訂版]ヤバい経済学 [増補改訂版]
(2007/04/27)
スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー

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経済学というよりは、計量社会学といったほうが通るかも。様々な統計データを分析して、一般に思われているのとは違う社会の姿を見ていく。着眼点が面白い。また、ジャーナリストが一緒に書いているので書き方がうまい。読んでいてなかなか痛快。

第一章の、学校の先生がテストをごまかすやり方を抽出するアルゴリズムの話は面白い。それと同じように、日本の相撲界での八百長が統計的には明らかであることを立証する。

第二章ではKKKと不動産屋を例に取り、経済学でのエージェンシー問題とレモン市場の話をする。ここはかなり説明がこなれている。素晴らしいところ。

第三章以降はだんだんとぱっとしなくなる感じだった。第四章は、アメリカの犯罪が1990年代になって低下した原因を巡る。これは大きな議論を呼び起こし、著者の名を一躍有名にしたトピック。著者の見るところでは、それは1970年代に中絶が合法化されたこと。それにより、20年後に犯罪予備軍となる人間が生まれてこなかったから。単純だし、発想が奇抜でなかなか爽快。特に、ニューヨークのジュリアーニ市長とブラットン警察本部長の功績は大したものではない、と統計から言うところは。「割れ窓理論」などともてはやされたが、著者の見るところ、その犯罪減少率は他の州のそれと大差ない。だが、中絶合法化が原因だとする著者自身の論証はちょっと弱いと感じた。

第五章・第六章は試みとしては面白いが。アメリカ社会での感覚がないとあまり分からない。子供の名前を見て受ける感覚など。日本でも奇妙な名前が増えている。著者たちは、新しい名前は富裕層から貧困層へと広まっていく、と分析。日本だと貧困層でまずもって新しい名前が生み出されているように見える。

増補の内容は余計だと感じた。ブログの単発的な文章を載せてどうする。せっかく本にするなら、それなりにきちんとした分析であるべきだ。本文との落差が大きすぎる。
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