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野中郁次郎『企業進化論』

企業進化論―情報創造のマネジメント (日経ビジネス人文庫)企業進化論―情報創造のマネジメント (日経ビジネス人文庫)
(2002/02)
野中 郁次郎

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名著。企業は単に環境に変化に対応しているのではない。内発的に情報を、あるいは著者の後年の言葉を使えば知識を生み出していく。そのように知識を生み出していける企業の形態を分析。様々なリズムの発想を生み出す企業文化に焦点を当てる。

個人的には前半の学説史的なところがとても参考になった。経営学の理論もあまりなく、フォードやスローンなどの偉人たちのやり方に依拠していた時代。それからBCGなどが戦略理論を練り上げ、PPMなどができてくる時代。しかしそれはやがて、本社の戦略スタッフが机上で戦略を作るような「分析マヒ症候群」となる。そこに、冷徹な理論的分析ではなく、顧客重視や失敗を咎めない企業文化を重んじる『エクセレント・カンパニー』が現れる。著者の視点はこの先に定められている。

また、最後に付いている講義録はかなり楽しい。あまり「学問的・科学的」ではないという経営学の自戒から始まり、野球の話など。本論にも経営学以外の様々な話題が登場するが、実に話題の広い人だ。

古い本でもある。独自の理論を支えるケーススタディではホンダ、AT&T、NECが出てくる。ホンダはいいとしても、AT&Tの「文化大革命」がどんな末路を辿ったかは周知のところ。NECにしてもPC業界での覇権は一時期に過ぎず、自社技術を偏重したことの結果も周知のところだ。

終わりに知識についての著者の熱い言葉を引いておく。「自己を超えて世界の知にしていき、世界の知の中からもう一度自分に帰ってくる。知というのは、実に素晴らしいものじゃないか。そういう意味で、knowledgeというのは「真・善・美」を無限に追求する姿勢というか、それはやっぱり思いの高さだ。」(p.338)
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