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ビル・ゲイツ『思考スピードの経営』

思考スピードの経営―デジタル経営教本思考スピードの経営―デジタル経営教本
(1999/04)
ビル ゲイツ

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さすがだ。インターネットを始めとするIT技術の進展が、ビジネスや社会の様々な側面にどんな影響をもたらしていくか。そしてそれらの技術や趨勢を利用しながら、どうビジネスを行うか。特にITを組織内での情報をやりとりするものとして、会社における神経系になぞえらえる(digital nervous system)。各章の終わりにはその章での議論のポイントと並んで、そのような変化に対応しているかどうかを自分自身チェックするようなまとめがある。

原著が出た1999年の時点で、それ以降の展開に関してかなり正確なポイントをつかんでいるのに驚く。およそ10年後の今から読むと、確かにその通りになっている。例えば、携帯用デジタル機器の普及。なかでも、スマートメーターまで言及されている(p.5)。それから、GPSとRFIDを使った流通現場の革命(p.440)なども目を引く。ただ、音声による家電操作の実現など(p.149)は、そんなに普及していない。

話題がかなり多岐に渡るが、具体例なども多いので読みやすい。ポイントも押さえられている。ネット上のサービス業で成功するのは、低コストで大量取引の業者か、ふれあい型のきめ細かい顧客サービスを提供する業者のいずれか(p.99)であるとか、仕事は会社の「中」にあるという先入観からするアウトソーシングへの恐怖心(p.163)、情報戦略をCIOに任せきりにすることへの注意(p.365)など。また、データマイニングを巡る発言も印象に残る。「ソフトウェアが情報の鉱脈からますます多くの鉱石を掘り出すようになっても、それを黄金に変えるのが人間であることに変わりはない。」(p.274)

とても明晰な一冊で、変化の著しいこの業界においてもまだ今後も読み返す価値のある一冊だろう。
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