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デボラ・ベネット『確率とデタラメの世界』

確率とデタラメの世界―偶然の数学はどのように進化したか確率とデタラメの世界―偶然の数学はどのように進化したか
(2001/03)
デボラー・J. ベネット

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確率の数学史。確率的事象について考えるのはかなり難しい。サイコロを5回振って(6,6,6,6,6)と出るのと(5,1,3,2,4)とバラバラに出るのは確率が同じだが、どうも前者のほうが出にくいように思ってしまうだろう。本書の最後に、複合確率についての直感に反するような話(p.198ff)が載っている。
1.ある人には子どもが二人いる。その中には女の子がいるという。このとき、その人の子どもが二人とも女の子である確率はいくつか?

2.ある人には子どもが二人いる。先日、その人が娘を一人連れているのを見た。このとき、その人の子どもが二人とも女の子である確率はいくつか?

前者は1/3で、後者は1/2である。組み合わせと順列の違いだ。

内容はけっこう淡白な数学史。くらくらするようなパズルで楽しませるわけではないし、確率をめぐるドラマでもない。むしろそれゆえ、学術書としては手軽ながら信用が置けるとも言える。

最初には古代において確率がどう扱われてきたのかが詳細に語られる。偶然は人為を排したもので、神のお告げとされた。偶然をもたらす様々な器具、randomizerについて詳しい。著者の名前(Deborah)から推察するにユダヤ系と思われるが、タルムードについての記述が多い。

その後、中世・近世ヨーロッパでは確率は賭け事に多く用いられてきた。賭博師たちは確率に関する知識を蓄積していったが、学問的な探求は16/17世紀のイタリアでようやく始まる。CardanoとGalileoであり、両者とも賭博に関した研究だった(p.98)。このように確率の理解が遅れたことを著者はこう評価する。
「同様に確からしい結果」が非常に単純な事象以外ではきちんと理解されず、運命や運という迷信的な考えに結びつけられたこと--これが、確率の発展を妨げてきたもっとも大きな障害であるように私には思われる。(p.210)


ついで確率が学問的に取り扱われるのは、天文学や測地学における誤差の問題である。18世紀前半には、多数の測定値の平均が無難な選択とされていた(p.109)。もちろん、これは学問的に厳密ではない。こうして現れるのがAdrian(1808)とGauss(1809)の正規曲線の考えであり、Laplace(1810)の中心極限定理である。

GaussとLaplaceの業績の効力はデータから推測値を引き出せる、ということだがそのためには、データが無作為でなければならない(p.128)。だが無作為性randomnessはどう保証されるのか?こうして標本の無作為抽出random samplingという考えが持ち上がる。最初に名が挙がっているのがFechner(1852)だ(p.129)。無作為抽出による乱数列が得られたら、問題のデータは無作為であることが検定されなければならないが、ここで出てくるのがかのPearsonのΧ^2検定(1900)である(p.141)。

この後は、コンピュータを使っていかに乱数を生成するかという試みがたどられる。ちなみにここにはあのKnuthが大きく取り上げられる。コンピュータが生み出す膨大な乱数は確率論、統計学の応用に多大に寄与している。経済予測、在庫管理、生物学・社会学・物理学。本来、確率論的ではなく決定論的案問題に関しても、モンテ・カルロ法という確率論的手法がある(p.156)。このモンテ・カルロ法に関する、von NeumannとUlamのアプローチの解説(p.158)はかなりよく出来ている。不規則な曲線をリーマン積分する話だが、なるほどと納得した。

さて最後には無作為性に関する三つの哲学的考察が取り上げられる(p.186)。それは、(1)我々の無知に由来するとする主観的解釈(Ciceroが古典的だが直感的な考え)、(2)事象の確率は頻度であるとする客観的解釈(von Mises)、(3)その事象を生成するアルゴリズムがその事象そのものと同等の複雑性をもつという解釈(Chaitin、Kolmogorov)である。


淡白な筆致なので感動は薄い。読む側のレベルとしては、最低限の組合せ論、それと正規分布や標準偏差についての初歩的な理解があれば足りる。
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