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黒羽幸宏『神待ち少女』

神待ち少女神待ち少女
(2010/02/16)
黒羽幸宏

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神待ち少女について。神待ち少女とは、対価を求めず無条件で食事や宿泊を提供してくれる「神」を掲示板などで求める(主に未成年の)少女たちのこと。風俗ライターの著者が神待ち少女という存在を知って取材を行う過程が記されている。それまでのコネを使ってやがて神待ち少女に出会い、神待ち少女を相手にする男に出会い、そして神待ち少女の父親に出会う。著者自身、娘を持つ父親であり、そうした著者の思いが重なってくる。

自分が神待ち少女について聞いたのは2年前くらいだったが、はじめはそんな話があるかと訝った。そんな募集に応じる本当の「神」は中にはいるだろう。だがたいていは対価として若い肉体を求めるのがオチである。それでたかが1泊か。援交でもすれば数万円で売れるだろう。そしたらそれは何泊、何食分か。どうも合理的でない。著者が始めに思ったのもこうした思いだったようで、無条件で恵んでもらうのを求めるのは「利己的」である(p.16)と評する。また、過去の家出少女たちは体を売り、それによって自立しようとする「自尊心」があった、神待ち少女たちは結局は体を売る結果になるとしても、ただ恵んでもらいたいと思っている、それは最低限の尊厳を失った惨めな状態ではないか(p.18)とも述べている。自分には逆に、これが彼女らの自尊心であるようにも思える。少なくとも表面上は、彼女らは体を売っているわけではない。そこまで「落ちて」いない・・・という自尊心の保ち方なのかもしれない。

こうした神待ち少女は著者の見るところ、以前の少女とは違う。援助交際をしていた1990年代の女の子たちは遊ぶ金欲しさであって、たいてい普通の家庭の子だった。だが神待ち少女たちは無条件に恵んでくれる神が降臨するのをひたすら待っている(p.90)。著者の知り合いの女子大生は言う。掲示板に書いたらどんな男が現れるか分からない、どうしてそんなリスクを取るのか。女の子なら入場無料というクラブは多くある。そこで男を見つければいいじゃないか、と。結局、彼女らは自分の惨めな状況を自分で改善しようとせず、その状況を売りにして神を待っている。つまり「自作自演のシンデレラストーリー」(p.40)。印象的な言葉だ。

またこうした社会現象が生まれた背景には、2002年から2004年にわたる風営法の改正、東京都条例の改正などがあることは本書でも挙げられている。それらにより無許可の無店舗型風俗が増加。街は健全化することなく、無駄に混迷を深めたのだ。(p.46f)

本書が取り上げる神待ち少女たちは父親に問題があったりしている。そうした少女を相手にする男も、頼りなくだらしない男たちだ。自分史を語りたがる神待ち少女たちはきっと、話を聞いてくれる大人が周りにいないのだろう(p.125)とつぶやく著者。後半は理想の父親をめぐって話が展開する。神待ち少女は無条件に自分を承認してくれる父親、理想の家族像を求めている(p.181)のであって、男たちもかりそめであっても「父親」として自分を認めてくれることを望んで、少女たちを招き入れる(p.184)と。最後に自身の娘との幸せそうな日常の情景を描いて終わる。

これが構成の妙であっても、事実かどうかは知らない。理想の父親による承認、というテーマから超自我や不在のファルス(問題はまさにファルスを巡っている)、想像界に空いた現実界の穴、神待ち少女と男の承認を巡る争い、主人と奴隷の弁証法・・・と分析はどこまでもいけよう。でもこれらは、まさに著者が区分しようとした援交少女たちを巡って浪費されてきた言説と同じである。

承認って自分で与えるものじゃないの。他人から承認されているとしても、その承認されていることを承認するのは自分自身だ。だが、自己承認する力は他人(端的には親)からの絶対肯定による承認が生み出すのか。そういう問題か。
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