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飯島勲『小泉官邸秘録』

小泉官邸秘録小泉官邸秘録
(2006/12)
飯島 勲

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総理大臣が「株式会社日本」のCEOにあたるなら、COOは首席総理秘書官だろう。官房長官という役職もあるが、あれはせいぜい広報室長くらいの仕事しかしない。首相のリーダーシップが云々と言われる昨今だが、実はそのビジョンを受けて実務的に折衝を行うこの秘書官というポジションは、かなりの重みを持つ。幾多の批判を受けつつ、今ではすっかりバックラッシュに見舞われている小泉政権が5年5ヶ月も続いたのは、この首席総理秘書官の力量が大きい。

まさに政権の中枢にいた人間が、政策決定、折衝の実際を印象的に描き出した本書は、ドラマを読んでいるようで面白い。例えば、郵政民営化よりも困難だったと著者が言う(p.82)医療制度改革をめぐる、様々な駆け引き。当時の近藤厚労省次官を電話で叱責する場面など(p.96)印象的な場面が多い。その結末を知っていたとしても、その交渉の様子に引き込まれるものがある。アメリカの9・11同時多発テロを巡る日本政府の対応(p.121f)も、リアル感が強く印象に残る。

もちろん、政権中枢の人間の回顧録であるから、正当化の文脈が多く含まれることは確かである。田中真紀子外相の更迭劇、郵政選挙、靖国神社参拝など、本書と違う捉え方をする人はいくらでもいる。

本書の一番のポイントは「官僚を使いこなす」(p.60)がどんなことか、使い古された言葉だが「政治主導」「官僚主導」がどのようなことか、明確に描かれていることだ。例えば、官邸主導を行うため、総理補佐官の任用などを含む官邸スタッフの大幅な強化が行われた。目指す補佐官の像としては、その公の発言がすべて総理の意思、内閣の方針となる。一定期間、自分のもつ能力見識をすべて総理のために使い、自分の職業生活を犠牲にしてでも総理に尽くす気概を持たねばならない、と著者は言う(p.28)。この役割を果たしたのが、竹島副長官補と坂内閣統括官であり、彼らが野党や各省と対峙し、抵抗を押さえ込んだ。

批判や反動は多かれど、小泉政権はひとつの政治のモデルを示した。その後の民主党政権は、自分が批判してきたものだから小泉政権モデルを取ることもできず、かといってもちろん旧態の自民党政治もできず、中途半端なスタイルになってしまった。これは二項対立ではないけれど、ここから虚心に学ぶことは多くあるだろう。おそらく、日本は数十年後、ここに戻ってくるのだろうから。財政破綻から中国とIMFの支援を受け、経済が崩壊した後にもう一度、こうしたスタイルの政治が戻ってくるだろう。

本書に多くひかれる小泉首相の言葉から、もっとも印象に残ったもの。
経済成長〇%、一%というのは未経験の世界。暫くやってみないと国民もよく分からないだろう。『モノで栄えて心が滅びる』ということが高度経済成長の頃言われた。今はまさにそうなりつつある。今がよければいい、今が大事、後はどうなってもいい、というのは違うだろう。低成長でも豊かさを感じることのできる時代、そういう時代になってきているのじゃないか。右肩上がりを前提には考えられない。発想の大転換が必要だ(p.70)
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