Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://exphenomenologist.blog100.fc2.com/tb.php/315-7bc04560

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

ロジャー・フィッシャー、ウィリアム・ユーリー『ハーバード流交渉術』

ハーバード流交渉術 (知的生きかた文庫)ハーバード流交渉術 (知的生きかた文庫)
(1989/12/19)
ロジャー フィッシャー、浅井 和子 他

商品詳細を見る


有名な名著だ。アメリカのハーバード大学の研究成果だが、ことさらアメリカスタイルの交渉術が説かれているわけではない。そういう意味だと、いくぶん日本的である。相手を敵と見て、ひたすら自分に極大有利な結果を求めようとするのではない。とはいえ、相手の出方を常に伺い、自分の利益よりも相手との友好関係の維持構築を重視し譲歩するのでもない。

本書が説く交渉術は「原則立脚型交渉principled negotiation」と呼ばれ、以下の四つの基本点をもつ。(1)人:人と問題とを分離する、(2)利害:立場でなく利害に焦点を合わせる、(3)選択肢:決定する前に多くの可能性を考え出す、(4)基準:結果はあくまでも客観的基準によるべき(p.30)。本書はこの4つのポイントを、事例を適切なバランスで織り混ぜつつ語る。

通底するポイントは、常に原則や基準に従い、合理的に自分の利害を正当化すること。とはいえ、冷徹に理性的であるのではない。相手の立場を理解すること、「それをなしうる能力こそ交渉者のもつべき最も重要な資質である」(p.49)。また、冷静であることは何よりも重要だ。「交渉する場合、相手の人間的要素だけでなく、自分の人間的要素とも取り組まなければならないということを忘れがちである。自分の怒りや不満のために、客観的には自分側に有利な解決のチャンスをふいにしてしまうかもしれない。」(p.46)

とはいえ相手を理解することは譲歩することではない。相手が寄って立つ利害と、自分の利害を客観的な原則や基準の下で調停する。自分の利害は具体的に、正当性を確立するように訴える(p.93)。自分の立場に固執してはならないが、利害に関して決して譲ってはならない(p.98ff)。圧力を持って臨んでくる相手に対しても、あくまで原則と基準で応答すること。相手にその言動の理由を説明させ、適当と思う客観的準を提供する。(p.155)

最後にある交渉術のまとめとしての、家主と借家人の交渉(p.193)が実際的でもっとも参考になるだろうか。個人的に印象に残ったのは、1950年代の鉄鋼業界における、労使対立の調停委員会でのユニークなルール、一時に怒ってよいのは一人だけというルールだ(p.64)。

自分のいまの仕事はほとんどが交渉なので、あくまで客観的な(というより、お互いが合意できる)原則や基準に則ることの重要性はよく分かる。その場しのぎで済ませると、結局後で損をする。だが、自分が不利な状況での交渉は難しい。本書にアプローチがいくつか載っているが、「客観的な原則・基準からして自分が不利であるときに、いくばくかのリカバリーを試みる」ような交渉に参考になるようなものが見つけられなかった。自分が苦慮するのはこうした場面なのだが。

スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://exphenomenologist.blog100.fc2.com/tb.php/315-7bc04560

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。