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Tom Leinster, "An informal introduction to topos theory"

著者のブログから入手可能な26ページのペーパー。本でも雑誌でも無いのだが、久々にこういうものを読んで面白かったのでポストしておく。
このペーパーはトポス理論についてのそのイメージや触りを書いたもの。カテゴリーについては分かっていて、トポスについて多少学んだがどうもイメージをつかめないような人におすすめ。トポスの一般的な特徴付けの後、集合論、幾何学、普遍代数との関わりが書かれている。こういう抽象的な理論を学ぶときは、印象的な実例を用いた実際の構成や、時には微妙な論点を省いて直接的に概念間のつながりを述べてもらったほうが分かりやすいが、そういった観点で書かれている。

もちろん自分はこの辺りは多少かじっただけだし、特に普遍代数の章はよく分からなかったのだが、それでも面白い論点があった。集合論の章で、集合ということでZFCの公理を満たすものと考えるのでなく、別の定式化を提示したLawvereの理論を述べている。著者によるとこれは「革命的なことであって、集合論についてのあなたの見方を根本的に変えうる」(p.7)だそうだ。

一番興味を惹かれたのは定義3.7(p.15)で、それはグロタンディーク・トポスとは何らかの前層(presheaf)トポスの部分トポスだ、というもの。著者も言うようにこれは通常の定義ではなくて、普通グロタンディーク・トポスはもっと複雑な経路をたどって定義される。それらの同等性を証明するやり方のさわりも書いてあるが、事実こう定義されるとしたら驚きだ。それから、ロケールの説明もよかった。ある位相空間を層化するとき、その位相空間の開集合全体に包含関係で半順序を入れたものを取り、それに対して関手を定義して層を構成している。この2段階のうち、中間段階の開集合がなすカテゴリー(の反対圏)をロケールだとしている。

半分以上は分からないので読めるところだけ読んだが、なかなか面白かった。こういう読書は時間が取れるときにしかできないが。
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