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ジョン・ダービーシャー『素数に憑かれた人たち』

素数に憑かれた人たち ~リーマン予想への挑戦~素数に憑かれた人たち ~リーマン予想への挑戦~
(2004/08/26)
John Derbyshire、松浦 俊輔 他

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これは非常に面白い。最高。リーマン予想、つまりヒルベルト23問題の中で唯一未解決である(p.448)この問題は、現在では量子力学との関わりなど非常に高度な数学を用いる。だが当初は自然数における素数の分布に関する問題で、それがかくも大きな広がりを見せている。著者はこの数論と解析の接点をとてもうまく描いていると言える。

数式も適切なレベルで出てくる。自分にはちょうどよい。伝記的・社会的な側面を書いた章と、数学的内容を書いた章がかわるがわるに出てくるので、読むリズムもよい。リーマン予想は素数分布に関する問題だ、としながらも、最後のほうまで素数定理とリーマンのゼータ関数の関わりは明確にならない。そのあたりがどうも不思議に思いながら読んだが、なかなか高度な関わりであることが最後に簡単に触れられている。正面きってここに踏み込まなかったのは賢明と言える。

複素解析について初歩から丁寧に説明されているので、その分野の雰囲気をつかむだけにも使える本だ。複素関数の捉え方はもちろんとして、虚数で乗することの意味とかも非常に参考になる。

一点、分かるなかで理解に苦しんだのはζ(0)など1より小さい値の計算で、そのままでは発散するのだが、ある計算方法をとれば値が定まる。「厳密に言えば、実は扱えず、根本にある数学を、少し大ざっぱに使っておいたのである」(p.184)というコメントがあるが、注にでも書いておいて欲しかった。
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