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友野典男『行動経済学』

行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)
(2006/05/17)
友野 典男

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行動経済学のトピックを紹介した本。まあまあ読みやすい。行動経済学の本はどうもバラバラな印象を受ける。様々な実験とそれによって明らかにされる、人間の経済的判断における様々な傾向が紹介される。しかし大概、これらはきちんとした概念の体系にまとめられることがない。確かに古典経済学の合理的経済人の仮定が、実際の経済的判断からすれば浮世離れしていることは納得できるが、では行動経済学がそれに代わって説明できるような体系を提示しているのか。つまり、行動経済学は「学」なのか?

この手の話題を目にするといつも浮かぶ疑問だが、これは各著者の力量によるというよりも、行動経済学の現状がそのようだ。ちょうど、古典力学に対して数々のアノマリーが報告されながら、量子力学という新しい体系ができる以前の過渡期の状況に似ているかもしれない。

上のような疑問の中で、本書の意義はプロスペクト理論を多少提示していることだろう。古典経済学との対比でプロスペクト理論を解説した第四章は、ようやく少し何か分かった気がした。例えば、損失回避性(利益よりも損失を重視する)を価値観数に取り込んで計算すること(p.124ff)や、確率に加重をかけて保有効果を表現すること(p.126ff)などで、これらはつまり古典経済学では隠れているパラメーターを導入したことになる。また参照点への依存性により、無差別曲線は交差してしまうこと(p.144ff)など、こうした解説の仕方であれば自分には分かりやすい。

理論的な第四章以外は、様々な実験によって明らかにされる人間の判断性向を次々と(悪しく言えば、だらだらと)提示している。どうにもむず痒い思いをする。いっそのこと、最終章にあるように一飛に、そうした判断性向の神経学的基礎の話(p.348ff)まで行ってしまえば(かなり根拠としては危ういものとなるが)分かりやすいのだが。

紹介される実験についても、その解釈に疑問を覚えるものもあった。もちろん詳細に書かれているわけではないので検討が必要だが。ひとつだけ挙げておく。貨幣錯覚(「人々が金銭について、実質値ではなく名目値に基づいて判断することでありフレーミング効果の一つ」(p.187))について、クーアマンの実験が紹介されている。
 オランダでは二〇〇二年にそれまでの通貨単位であるギルダーからユーロに切り替えが行なわれ、交換レートは1ユーロ≒2.2ギルダーとなった。オランダのある地域で毎年行われているチャリティへの募金額はユーロ導入以前の数年と以降の数年ではそれぞれほぼ安定しているが、ユーロが導入された二〇〇二年には前年比で約10%増加したのである。
 ユーロとギルダーの交換レートは約2.2であるから、以前にたとえば2000ギルダー募金していた人は、約910ユーロ募金すれば実質値でほぼ同額であるのに、人々が1ユーロ=2ギルダーとみなして1000ユーロ募金することが募金額増加の原因であるとクーアマンらは推測している。貨幣錯覚が現実に生じている例である。(p.193)

これは貨幣錯覚ではなくて、単に切りのいい金額が選ばれているだけではないのか。910ユーロなんて中途半端な募金をする人がいるだろうか。募金をするときにお釣りでも貰うつもりだろうか。(ここで言われているクーアマンの実験の文献:P.Kooremann, R.P.Faber and H.M.J.Hofmans, 'Charity Donations and the Euro Introduction: Some Quasi-Experimental Evidence on Money Illusion', Journal of Money, Credit, and Banking, 36 (6), 2004, pp.1121-1124.)
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