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マイケル・ポーター『競争優位の戦略』

競争優位の戦略―いかに高業績を持続させるか競争優位の戦略―いかに高業績を持続させるか
(1985/12)
M.E.ポーター

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企業戦略論の名著。600ページ強の重厚な理論書だ。結局、読み終わるのに一週間かかってしまった。しかし、このくらいの分量がないと説得性が薄い。この本が簡単に書かれていたら、「理論はごもっともだが・・・」という読後感で終わっていただろう。

本書は、企業がその競争上の優位性を得て、維持していくためにはどうすればよいか。この一点を実に様々な要素にわたって検討している。網羅的とも言えるほど多様だ。この分析は、極めて多くの実際の企業分析に基づく。原注がほとんど削除されているので気付きにくいけれども。
単にシェアや売上高の拡大を目指すのではなく、競争優位を確保することの需要性。競争優位の確保に当たっては、製品だけに注力するのではない。価値連鎖と著者が呼ぶ、その製品を生みだし買い手に届けるすべての過程を検討すること。新規技術や代替品、補完製品の扱い方。自社内で、各事業単位をいかに連結させていくのか。顕在的あるいは潜在的な競争相手に対して、いかに対処していくのか。議論が細部に渡るが、筆致はスマート。ポイントをひたすら列挙するようなけらいが少しあって、そこは自らの分析や実務の経験がないと理解しにくい。

特に感心させられたポイントは、まず競争優位の獲得だけではなく、一貫してその維持に配慮されていること。競争優位の獲得だけなら、多くの投資によって何とかなるかもしれない。問題なのは、それを維持していくこと。競争相手や買い手の変化、つまり業界構造の不確定な変化のなかで競争優位を維持していくことだ。ついで、「良い」競争相手を持つことの重要性。業界からすべての競争相手を排除すれば、究極の競争優位が得られる。だがそれは結局、企業のためにはならない。業界の秩序を保ち、「悪い」競争相手を排除してくれる「良い」競争相手を持つことが重要だ。

あまりに重厚な本で把握しきれない点が多い。また、実際に自分が戦略策定の場面に出会ってみなければ、本当の意味では本書は理解できないだろう。手元に置いて時機を見て読み返すべき本だ。
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