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三浦展『下流社会』

下流社会 新たな階層集団の出現下流社会 新たな階層集団の出現
(2005/09/20)
三浦 展

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毀誉褒貶の激しい本だな。はやり本はそんなもんだろう。
統計的には根拠が薄いって著者本人が言ってるのだから、そこは割り引いて読まないと。


amazonに読書記掲載。
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本書に対して、学問的な根拠に乏しいから価値が無いとするのはまずい読み方だ。そもそもそういう本ではないし、それでは何も学んでいない。真実は誰かが教えてくれるもの、答えは決まっているもの。自分から何かを学び、考えようとしない態度。それこそ、まさに本書が「下流」と呼んだものではないだろうか。

本書は、初めて「下流社会」という言葉を生み出した。この下流とは、貧困層のことではない。働く意欲や学ぶ意欲に乏しい人々のことを言う。とりあえず不自由せず暮らせるくらいの所得はある。だから貧しくはない。だがその「とりあえず」の生活に安住している人たちのことである。本書の生み出した「下流社会」という言葉は、確かに時代の風を捉えた。そして一気に、現代社会のキーワードとなった。

だが本書は読み方に注意しなければならない。この本にはアンケート結果が多く含まれる。数字が羅列されており、一見、「科学的」な印象を与える。だが、下流社会なるものが存在することが本書によって示された、と考えるのは誤りである。それは著者も承知の上である。以下の通り。

「そもそも本書で紹介した私のアンケート調査は、サンプル数が少なく、統計学的有意性に乏しいことは認めざるを得ない。したがって、見出しに「?」が多いように、本書に書かれていることの多くは仮説である。これらの仮説が今後より精緻に検証されていくことを私は望んでいるし、私自身もそれに向けて努力するつもりである。」(p.283)


確かに。統計資料の各項目は100人にも満たないことが多い。「可能性がある」「~はずだ」「かもしれない」があまりに頻出する。学問的な精査には耐えないのである。では本書のやっていることとは何か。それは、社会を捉えるための概念を提起することである。この概念とは、理念型 (Idealtypus)だ。現実に厳密な検証が可能か、と言えばそうではない。だが、社会について考える見方を与えてくれるのである。

社会に格差が広がっている、と多くの人が思っている。だが確たる統計資料は無い。そのような中、本書の「下流社会」という言葉は時代の風を捉えている。そして、この「格差のようなもの」をどこに見ればよいかを示唆している。消費行動、結婚意識、「自分らしさ」、そして居住地である。自分が漠然と考えていたことが、文章として語られている。そしてまた、参考図書も挙げられている。現代社会について考える視点、そしてさらに先に考えるための本を知ることができる。

著者の「下流社会」という見方を受けて、自分で考えていこうとすること。それこそ、著者が本書で訴えたことなのである。本書には、現代社会の構造についての答えはない。だが、貴重なヒントがある。本当に「下流」層が生まれているのか。考えるのは、自分自身である。
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