Entries

福山秀敏『岩波講座 物理の世界 物質科学入門〈1〉物質科学への招待』

岩波講座 物理の世界 物質科学入門〈1〉物質科学への招待岩波講座 物理の世界 物質科学入門〈1〉物質科学への招待
(2003/09/27)
福山 秀敏

商品詳細を見る


物性物理についての本。絶縁体と金属の構造について、量子論的に説明している。主眼はバンド理論の解説。

なぜ物質が電気を通したり通さなかったりするのか。結晶という形で空間的に近接した原子は、各原子に拘束されている電子の波動関数が重なる。それにより、ある原子の電子が他の原子へと跳び移る。この量子トンネル現象が導電の原理である。このとき、系のエネルギー固有値は帯状に分布する。金属と絶縁体の違いは、フェルミエネルギーがこのエネルギーの帯(エネルギーバンド)にあるかどうかによる。
絶縁体であっても、他の元素を微妙に混ぜると、電子の振る舞いが変わる。この不純物添加(ドーピング)による結果が、実は半導体である。

ところでバンド理論の説明によらない絶縁体がある。バンド理論では電子どうしのクーロン力を無視している。通常の金属ではこのクーロン力による相互作用は実際、無視できる。しかし電子密度が小さくなると、この相互作用が表に出る。このとき、電子はクーロン力の斥力によりきちんとした結晶状態を取る(ウィグナー結晶)。ある系では、これらの電子たちは動かない。したがって絶縁体となる。これをモット絶縁体という。
では絶縁体に微妙の他の原子を混ぜると?モット絶縁体へのドーピングは、実は高温超伝導を示すようになるのだ。

バンド絶縁体と、そのドーピング結果としての半導体。モット絶縁体と、そのドーピング結果としての高温超伝導体。というきれいな説明になっている。この点ではとてもよく書けている本だ。

ざっと書いてみたが自分の理解度はかなり低い。数式や物理用語が説明なく次々と出てくるからだ。例えば、バンド理論で中心的な役割を果たすフェルミエネルギー。これが何なのかは大した説明はない。計算は示されているのだが。
こういう本は誰に向けて書かれているのだろう。ハミルトニアンを求めて微分方程式を解いたことのある人くらいでないと、なかなか読めない本だ。だがそういう人には薄すぎるだろう。そうでない人にはよく理解しがたい本だ。
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://exphenomenologist.blog100.fc2.com/tb.php/40-e1fff760

トラックバック