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ロジャー・ローウェンスタイン『最強ヘッジファンドLTCMの興亡』

最強ヘッジファンドLTCMの興亡 (日経ビジネス人文庫)最強ヘッジファンドLTCMの興亡 (日経ビジネス人文庫)
(2005/11)
ロジャー ローウェンスタイン

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スピード感があってとても面白い。かの有名なヘッジファンドLTCMの興亡を描いたもので、これ自体とても有名な本。金融関係に興味のある人なら誰しも読んでいるはずだ。

著者自身のLTCMへの評価は、やはり効率的市場仮説に問題があったと見ている。もちろん市場は思いと大きく違う方に揺れたりはするが、すべての市場が標準から逸脱する可能性は極めてわずかと想定された(p.135)。数学的モデルに基づくLTCMの投資は、過去のパターンから将来のリスクを算定しており(p.125)、他の事情が同じならば(ceteris paribus)成功する。

ここに漏れている視点はまずもって市場はそんなに効率的ではなく、可能性が正規分布から逸脱するファットテールを持つということ。そして、投資家心理、人間性という要素(human factor)が考慮されていないことだ(p.334)。LTCMが崩壊に向かうにつれ、そのポジションを清算して現金を確保しようとしても、投資家がLTCMがやがてもっと安い値段で売らなければならなくなることを知っている限り、誰も買いには出ない。
マートン=ショールズの説く効率的市場仮説で育った教授たちは、価格はどこまでもモデルが示唆するところまでまっすぐに到達するものと心の底から信じていた。慢心のあまり、モデルから値動きの限界を予想できると考えた。実際、モデルは彼らに、過去の標準に照らして、どこが理論的に適正か、どこが予想範囲内かを示してくれた。教授たちが見逃したのは、人間というものは、トレーダーも含めて、いつも理論通りに動くとは限らないことだ。これこそ、ロングターム崩壊の真の教訓だろう。モデルがなんと言おうとも、トレーダーはシリコンチップに導かれるマシンとは違う。彼らは影響されやすく、人まねが好きで、いっせいに駆け出し、群れをなして退却する。(p.447f)


効率的市場仮説も問題かもしれないが、規模が大きくなりすぎたことも崩壊の一因だろう。LTCMの最初に用いた手法は複数の債券の間のスプレッドが縮小する方向に賭けることで、わずかなスプレッドから利益を得るために20倍以上のレバレッジをかけている。さらに、様々なポジションを組み合わせることで、その債券以外のリスクをヘッジした。これらの手法は成功し、莫大な利益をもたらした。しかしまさに効率的市場仮説よろしく、この手法は他の投資家の真似するものとなり、市場は効率的となり利益が出なくなったのだ。そこで、LTCMは投資先を求め、CMBS、ついで株式、特にM&Aアービトラージに手を出していく(p.193)。債券市場は基本的にプロの市場で統制がとれている方だが、株式市場は違う。LTCMは利益を求め、とにかくどこかに投資しようとし、ほぼ投機的と言えるような取引にまで拡大していく(p.248)。

LTCMの救済に向けて各銀行が協議していく過程はこの本のハイライトで、相当に面白い。現場の危機感や、交渉の裏で利益を稼ぐトレーダー、脅しあいや駆け引きなど。
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