Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://exphenomenologist.blog100.fc2.com/tb.php/420-30ce794d

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

永積安明・島田勇雄校注『保元物語 平治物語』(日本古典文学大系)

保元物語 平治物語 承久記 (新 日本古典文学大系)保元物語 平治物語 承久記 (新 日本古典文学大系)
(1992/07/30)
栃木 孝惟、益田 宗 他

商品詳細を見る


リンクは新版だが読んだのは旧版。承久記は収められていない。約800年前の文書で、読むには現在の英語の本を読むより時間がかかった。保元物語は1156年の保元の乱を描いた軍記物で、この保元の乱は武士の時代の始まりとも言われる。鳥羽法皇の崩御をきっかけに重祚を目す崇徳院と後白河天皇の間に抗争が起こり、藤原摂関家、源氏、平氏それぞれで親兄弟が崇徳院(新院)側、後白河天皇(主上)側に別れて戦うことになった。

平安文学の流れを組んでいるのか、武士が身につけたる武具についての記述が詳細。あたかも平安文学で十二単衣などの衣装を詳細に絵描くかのようだ。また、合戦における武士の口上を始めとする戦いの活写など、素人目に言って鮮やかだ。例えば次の源親治の言葉。
弓箭とるものゝ一度申つることばをへんずるやうやある。院宣につゐてまいる親治が、宣旨なればとて、今更ひるがえすべきやは。源氏の家にむまれて、二人のしうをばつまじきものを。御邊のけうくんにはよもよらし。高祖父大和守たりしより奥郡にきよぢうして、いまだ武略の名をおとさず。かけよや、わかものども。いのちなおしみそ、名をおしめ。まんなかをかけやぶって、とをせやとをせや。(p.70f)


結局、保元の乱では新院側が敗れ、戦の大将である源為義の一門は信西(藤原通憲)、平清盛の指示によりほぼ全員斬首という厳しい沙汰となる。自らの運命にしたがって斬られていく人々の描写はさすがだが、確かにやや情感を際立たせすぎにも感じる。個人的なハイライトは為義の幼子たちの最期。なかでも乙若の弟たちを気遣いながら死んでいく様(p.151-157)は素晴らしい。もちろん物語上の脚色も多く入っているだろうが、13歳とは思えない。

平治物語は平治の乱を描く。平治の乱は1159年、信西と藤原信頼の仲違いから信頼が源義朝を誘って挙兵したもの。源義朝は保元の乱で源氏のなかでただ一人、主上側につき(なぜだろう?)、自らは助かったものの親・兄弟はことごとく斬首にあった(なかでも父親たる源為義の処刑を自ら命じられた)。その恨みもあり、平清盛が熊野大社に参拝に出かけた隙をついて挙兵する。だが結局、平氏の軍勢に敗れ、幼子の源頼朝・源義経などを残して斬首となる。

平治物語は保元物語よりもやや淡白な筆致に感じられた。敗者を巡る悲哀の記述も、女性たちについては多いが、全体的に薄め。それよりも合戦の記述がまるで映画である。庭の椋木を中心とした源義平と平重盛の戦い(p.225-230)は有名な記述で、非常に生き生きとしている。総じてこの源義平が大内・六波羅を荒々しく駆け巡る様は爽快だ。

この後の源平合戦で源氏が平氏を滅ぼした後の視点から書かれているので、平氏の側の記述は素っ気なく感じる。源頼朝、源義経を平清盛は結局斬首にせず流刑とするのだが、その記述もなんとも。源頼朝については、それが平忠盛の子、家盛に似ているとかわいがる池の禅尼(平清盛の継母)のハンガーストライキに負けたもの(p.276-280)となっているし、源義経については、その母で源義朝の妻である常葉をその母親を脅迫してまんまとおびき寄せたのに、平清盛は常葉の美貌にすっかり夢中になってしまった(p.284-287)となっている。なかでも何よりも笑えたのは、突然源義朝が六波羅に押し寄せて平清盛が驚き、あわてて武具を身につけようとして兜を前後逆につけてしまったときの記述だ。平清盛の言い訳にツッコむ平重盛。
清盛時の聲におどろきて、物具せられけるが、甲をとつて逆に着給へば、侍共、「御甲さかさまに候。」と申せば、臆してやみゆらんとおもはれければ、「主上是にわたらせ給へば、敵のかたへ向はゞ、君を後ろになしまいらせむがおそれなれば、さて甲をば逆にきるぞかし。」とぞ宣ひける。左衛門佐重盛、「なにと宣ども、臆してこそみえられつれ。」とて、五百余騎にて打立て防かれける。(p.233)
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://exphenomenologist.blog100.fc2.com/tb.php/420-30ce794d

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。