Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://exphenomenologist.blog100.fc2.com/tb.php/425-c29d7ef4

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

アラン・グリーンスパン『波乱の時代 (上)』

波乱の時代(上)波乱の時代(上)
(2007/11/13)
アラン グリーンスパン

商品詳細を見る


18年に渡ってFRBの議長を務めた、アラン・グリーンスパンの伝記。上巻は出生からFRB議長への就任、就任直後のブラック・マンデーを始めとする世界経済への対処、歴代大統領など政権内部のやり取りが議長退任まで語られる。

アイン・ランドの思想的影響がかなり強調されている。グリーンスパンがずっと基調として持っている自由市場への信頼(リバタリアニズム)はランドの大きな影響のもとに形成されている。思想・歴史を含む広い視野はランドが持っていたものだ(p.78)。論理実証主義に傾倒していた若きグリーンスパンが、コギトの明証性についてランドに突っ込まれ衝撃を受ける場面(p.61)が面白かった。論理実証主義への突っ込みとしては、検証主義的原理自体の検証可能性がまずもって挙げられると思うが、コギトの明証性が出てくるのはランドの特徴をよく表している。

その都度の世界経済の流れに対して、どう考えてどう対処したのかがそれぞれ語られている。興味深かったのはソビエト連邦崩壊にまつわるあたり。アメリカやヨーロッパでは、自由市場が成立するのに必要な様々な法や制度が徐々に、気付かれないままに形成されていったが(例えば私有財産権など)、ソビエト連邦崩壊により独立し、自由市場へと短期間で移行しようとした国々は、こうした制度を初めから作られなければならなかった。グリーンスパンはここに、みずからが信奉する自由市場が拠って立つものが何なのか再確認している。特徴的なエピソードとしては、1990年8月、ジャクソンホールのFRB会議の昼食会で当時ポーランド蔵相のクラウスは、共産主義体制からの移行について競争市場こそが富を生み出すと力説した。グリーンスパンは、自由市場の力を十分に信じていないと非難されるという奇妙な体験をしている(p.194f)。

歴代大統領の中では、クリントンとニクソンが優秀な人物として評されている(p.209)。ただし、ニクソンは人格的にむらがあると。財政規律との関連で、執筆当時の現行政権であるブッシュ(子)大統領への批判が厳しい。政権発足当初とは違って財政黒字が消え、財政赤字に陥っているのにもかかわらず、選挙公約どおり政策を実施しようとするブッシュ政権への失望が切々と書かれている。ブッシュ政権も当時の議会も、財政規律を放棄してしまった(p.339-342, 353-356)。「大統領に対する最大の不満はその後も変わっていない。抑えのきかなくなった財政支出に拒否権を発動しようとしないことだった。」(p.353)

つまり、「財政黒字の継続は財政赤字の継続とあまり変わらないほど、経済の安定性を損なう要因になりうるのである」(p.317)。まず、(1)生まれた財政黒字の運営先に困る。その恣意的な運用は不正の温床となる。(2)選挙民へのバラマキなど、財政赤字を好む傾向がある政治に歯止めがかからなくなる。財政規律を一度緩めてしまうと、なかなか元には戻れない(p.316ff)。財政黒字もまた問題だとはいまの日本からすると遠く現実味のない話ではあるが。

他に、社会保障基金の改革案をまとめるにあたって、超党派での合意のために実行した4つの手段が興味を引いた。この4手段とは以下。(1)問題を限定した。(2)問題の規模を示す数値について、全員の合意を得た。基本的なデータについての合意。(3)主要な関係者は全員巻き込んでおく。有力者への細かい状況報告。(4)合意に達したあとは、どんな立場であれ全員が修正要求に強く反対することで合意しておいた(p.139f)。

2000年問題への対処が生産性を高めたという仮説。2000年問題に対処するために、ドキュメンテーションがない大量のプログラムが調査され更新された。これにより資料が何もないブラック・ボックスのプログラムがなくなった。「その後の数年に生産性伸び率が大幅に高まった一因は、2000年問題の予防のために行った投資にあるのではないかと思う。」(p.299)
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://exphenomenologist.blog100.fc2.com/tb.php/425-c29d7ef4

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。