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NTTソフトウェアEAコンサルティングセンター『図解入門 よくわかる最新エンタープライズ・アーキテクチャの基本と仕組み』

図解入門 よくわかる最新エンタープライズ・アーキテクチャの基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)図解入門 よくわかる最新エンタープライズ・アーキテクチャの基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)
(2005/07)
NTTソフトウェアEAコンサルティングセンター

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エンタープライズ・アーキテクチャEAについて解説した本。この本自体は図表も多いし分かりやすいもので、EAの概略を知るにはいいだろう。EAは多分に漏れずアメリカで考え出されたものだが、それを日本で導入するには何がキーになってくるか、という日本の事情が考慮されているのも特徴。

EAの特徴はITシステムだけを扱うのではなく、会社全体を一つのシステムとして企業の構成(=エンタープライズ・アーキテクチャ)という観点からITを考えること。業務ごとに個々のITシステムに分かれ、部分最適のみで全体最適がなされない現状に対処しようとしている。そのために、ビジネス・アーキテクチャBA、データ・アーキテクチャDA、アプリケーション・アーキテクチャAA、テクニカル・アーキテクチャTAの4つの視点が挙げられている。BAはいわゆる企業の経営戦略、DAはどんなデータ(物・人・情報)が扱われているのか、AAはどんなアプリケーション・機能があるのか、TAはどういったハードウェア・ネットワーク上の構造があるのかという視点。企業構成をこの4点から整理しつつ、To-BeとAs-Isの分析を行うもの。ただしTAは技術の進化が早く、To-Beの策定はあまり意味がないとされている(p.137f)。

さてしかし自分としてはあまり有効な捉え方のようには思えなかった。4つの視点はよいかもしれないが、To-BeとAs-Isのギャップ分析というのは別にEAに限ったことではなく、基本的な考え方だろう。BAは経営戦略で、TAはそのときの技術レベルに依存していてその会社独自の問題性が薄いから、ポイントはDAとAAになるだろう。だが本書ではDAの捉え方は一見、プログラミング言語に依存しないような形に見え、サービスオブジェクトのレベルで行うと書かれつつも、成果物の例は思いっきり内部構造が書かれていたりする(p.102, 113f)。

一通り考え方が述べられた後、最後のほうに導入の具体例(仮想例)が書かれている。ここを見るとEAはまだ概念レベルの話で、実際にこれをプロジェクトとして回すのは非現実的だなと感じた。まずTo-BeはAs-Isから導く(p.92-97, 240f)という考えを主としているが、それだとやはり部分最適にしかならない。人事異動で管理できる人がいないからとアウトソーシングしたら、EAのポイントであるユーザによる管理が達成されない(p.208f)。本文での理念とは違い、DAとAAはITの範囲内でしか考えられていない(p.244f)、等。

EAを本気でやるなら戦略面も含めて会社全体を見直すことになるし、その成果はユーザが管理しなければならないから、管理の負担は膨大になるだろう(DAやAAで業務の全体像を描いたら、相当な分量になるだろう)。それに見合うメリットをEAは提供できるのだろうか。
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