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マイク・コーン『アジャイルな見積りと計画づくり』

アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~
(2009/01/29)
Mike Cohn、マイク コーン 他

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これはとてもいい本。アジャイルプロジェクトにおいて見積もりやプロジェクト進行の管理をどうやるのか、についての有名な本。ある程度アジャイルについて知識を持つと、イテレーションの繰り返しで要件がつど変わってもいいような世界でプロジェクト全体の納期や予算をどうするのか、について疑問を持つ。アジャイルの研修を受けた時に聞いてみたら、そこは従来的に人月で、という答えが返ってきたこともある(そもそもそうでないと見積もりの根拠として社内・顧客に通らないという事情もあるが)。

本書ではストーリーポイントや理想日といった概念を使い、アジャイルプロジェクトでの見積もりについて解説。かなりよくできていて、確かにこれなら行けるのかもという印象を持つ。見積もり自体、アジャイルの理念に反しないように考えられている。たとえば、WBSはタスク単位にしてタスクごとにオーナーを振るのが一般的だが、それはチームでの作業を重視し、日々の朝会でのコミットメントまでタスクのオーナーは決めないというアジャイルのスタイルに反する。アジャイルプロジェクトにあるのはWBS(Work Breakdown Structure)というより、そのイテレーションで達成すべきフィーチャーを分解したFBS(Feature Breakdown Structure)である(p.247f)。

また、狩野モデルを用いたテーマの優先順位づけも興味深い。これは特定のフィーチャがあったとき/ないときに気に入る、当然だ、何とも感じない、仕方ない、気に入らないの5段階評価をするもので、フィーチャの充足時だけでなく不充足時も問うのがポイント(p.128f)。アジャイルプロジェクトから離れた場面でもだいぶ応用が利く(もともとは品質管理での用語)。

プロジェクトのトラッキングでもリリースバーンダウンチャート、パーキングロットチャートなどの管理指標はわかりやすいし役に立ちそうだ。アジャイルの理念を損なわないようにプロジェクトを計画・管理するだけでなく、プロジェクトに合わせて計画・管理自体もいかにアジャイルで行うか、が考え抜かれたとても良い本だろう。また読み返すことになる。
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