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金聖響、玉木正之『マーラーの交響曲』

マーラーの交響曲 (講談社現代新書)マーラーの交響曲 (講談社現代新書)
(2011/12/16)
金 聖響、玉木 正之 他

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スポーツライターの触発を受けながら、著名な指揮者の金氏がマーラーの交響曲について語り下ろした一冊。第一番から大地の歌を含んで第10番まで各章に分かれて書かれている。語り下ろしという形でもあり、非常にカジュアルで楽しい内容。とても人間くさい内容とでも言えばいいだろうか。

時代背景やマーラーその人についても語られるが、多くはない。音楽学的な内容は少ない。指揮者ゆえ、実際にマーラーの交響曲を指揮する際の苦労話などが多いのが興味深い。第3番の舞台裏に配置されたポストホルンがもたらす立体的な(3D)効果(p.102f)、第9番のオーケストラ配置がもたらす立体効果(p.283f)や、様々な打楽器、当時の新商品だったチェレスタなど多様な効果を使うマーラーの姿。第4番については個人的にも聴きやすいようで、何だか裏があるような気がしていたが、著者はパロディや皮肉として読み解いている。個人的には一番好きな第7番の最終楽章の分からなさは、バッハが鍵であるようだ(p.214f)。

さらにはちょうど東日本大震災の翌日に演奏された第6番「悲劇的」への思い(p.170f)、大地の歌での中国的な要素。第9番が表現した死について、それはブルックナーのような神に召される死や、ベートーベン英雄の悲劇的な死などではなくてまったく普通の人の死だという指摘(p.294f)もとても印象に残る。マーラーの交響曲を親しむにはとてもよい本だ。
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