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城田真琴『ビッグデータの衝撃』

ビッグデータの衝撃――巨大なデータが戦略を決めるビッグデータの衝撃――巨大なデータが戦略を決める
(2012/06/29)
城田 真琴

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簡潔に様々な話題がまとまった素晴らしい本で、IT系のビッグデータの話題はこれを読んでおけば概略はつかめる。事項が多い割にはあっという間に読むことができる。必読本の一つ。

ビッグデータという言葉はまだまだ人口に膾炙し始めたばかりで様々な人が様々な意味で用いている。この本の捉えているビッグデータの姿は一つの定義として参考になる。つまり、3つのV(Volume, Variety, Velocity)という観点。ビッグデータは従来のデータに比べてデータ量(Volume)が圧倒的に多く、従来のような構造化データだけでなく非構造化データを含んでおり多様性(Variety)に富んでおり、さらにデータの生成・更新の速度(Velocity)が極めて高い(p.22-29)。また、こうしたデータを従来と比較するときに重要なのは、ビッグデータは何よりも非構造化データを含むことに特徴があり、またそのデータの担い手が従来の金融や小売業のような企業からWeb企業やSNS企業に移っていることだ(p.6)。IBMは4V(正確さVeracityが加わる)を提唱している(ここを参照)が、実際このVeracityはデータの性質ではなくてそれを活用するときの観点だ。

従来との違いで言えば、BIとの比較も多く参考になる。著者の位置づけではBIはレポーティングや分析、モニタリングなど基本的には過去や現在の状態を提示するものだ。ところがビッグデータにまつわる分析は予測や最適化など将来予測を行うことを目している(機械学習などを用いて)(p.39ff)。したがってBIとビッグデータ分析はマインドセットやスキルセットの観点で従来のBIとは違い、BIの専門家がビッグデータのデータサイエンティストになる傾向は小さい(p.285-289)。ただしBIとビッグデータをあまりに区別してしまうのは危険で、延長線上にあり明確な分離はないと考えるべきだろう。「過去/現状の把握→将来予測→最適化と1歩ずつ進めていく必要がある」(p.169)のだ。

HadoopやNoSQLなどの技術基盤、データ分析技術(機械学習や統計解析)については軽く触れている。本書が述べるのは技術基盤よりもアメリカと日本の企業の活用事例だ。まず、ビッグデータ活用のパターンが4つに分類されている。それは個別最適/全体最適という軸と、リアルタイム型/バッチ型の軸の掛けあわせで得られる(p.157-168)。個別・バッチはone to one marketing、個別・リアルタイムは例えば位置情報に基づくリコメンデーション、全体・バッチはグーグルのreCAPTCHA、全体・リアルタイムは渋滞予測などが挙げられている。ビッグデータ活用事例で言われるものはそれまでもあったものだが、ポイントはデータの多様性にあると著者は見る(p.176)。活用事例の中ではリクルートの例が面白かった。Hadoopを中心とする技術基盤を使うことによって分析範囲が大きく拡大したことが述べられている(p.124-133)。このとき、こうしたビッグデータ活用が有効に機能した一番の成功要因として位置づけられているのが組織体制。マーケティングとIT部門が1つの部門となり、各部署を横串で支えている(p.129f)。ビッグデータ活用には何よりもそれを活用できる組織体制が重要なのである(p.297-300)。

その他、データ収集におけるプライバシー保護の流れとした法制度の動きに触れられているのも、バランスがとれている。また、行政機関や各企業によるデータ公開の動きが書かれているのが面白い。様々なデータをオープンにして社会全体で活用しようという、LOD(Linked Open Data)の発想。さらにデータマーケットプレイスという市場が生まれていることも興味深い記述だ(p.226-255)。

アメリカと日本の事例を踏まえて、ビッグデータのすぐには気付かない側面を含めて様々な側面がまとめられいてる好書。とりあえず本書を咀嚼することが始まりになるだろう。
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