Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://exphenomenologist.blog100.fc2.com/tb.php/517-389def38

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

蓑谷千凰彦『統計学のはなし』

統計学のはなし統計学のはなし
(1987/02/20)
蓑谷 千凰彦

商品詳細を見る

かなり古い本(元になっている本は1981年刊)なのだが、これは非常によい本だ。統計学を学び始めて3、4冊目くらいに読むとよいと思う。説明がうまく引き込まれると感じる数学の本にはたいてい、例が適切で分かりやすく、証明をやや詳しく書くところと天下りで与えるところのバランスがよく、初心者がつまづきやすいポイントがフォローされている。

例えば標本標準偏差の説明(p.71-79)で、平均からの偏差を定義しようとして一度失敗してみせる。分かっている人からすれば冗長な記述に見えるが、こうしたところが一番理解を助ける。またここでは偏差平方和を標本数nで割るか、n-1で割るかの問題についても、母集団の推定にどれだけ役に立つかで書かれている。さらにχ^2分布による検定のところ(p.262-266)でも、一度失敗を導いて、そこからχ^2検定を使う際の注意点を述べている。説明のうまくない本だとこの辺りは天下りに出てきたり、まったく注記がなかったりする。

自分にはやや意外だったことに、この本は平均や分散の概念を導入したあと、おなじみの正規分布の話にはすぐ行かない。代わりに、まず離散的な確率分布の話に入る。そして確率pの事象がn回のベルヌーイ試行で起こる回数についての2項分布、単位時間に稀な事象が起こる回数を表すポアッソン分布、最初の成功事象が得られるまでのベルヌーイ試行の回数を表す幾何分布、さらに幾何分布の一般化としてr回の成功が得られるまでのベルヌーイ試行の回数を表すパスカル分布と続く。そしてついに2項分布の正規近似として連続確率分布である正規分布が導入される。あとは対数正規分布と、χ^2検定の話で終わる。秀逸なことにこれらの導入はそれぞれ、前のものの一般化や抽象化として語られている。そして最後にこれらの分布の関係が一図で示されている(p.225)。実に美しい。

こうした統計学的結果の応用として挙げられている例も自分には興味深いものが多かった。例えば2項分布を用いらロット内の不良品検査(p.136-144)、欠品をなくすためにどれだけ週次で仕入れればいいかをポアッソン分布で述べるところ(p.160-166)、幾何分布による真空管の寿命時間(p.174-177)、そして正規分布を用いた品質管理の話(p.237-249)。特に最後のものは擬陰性と擬陽性の話が詳細に載っており、とても分かりやすい。

統計学を学び始めの人間には刺激的であるし、かつ分かる範囲でその先を見せてくれる良書だ。著者の他の本も読んでみることにしよう。最後に、統計学に過度に依存することへの著者の警告を引いておく。
最後に、そして最も重要な点は、統計的規則性が得られた場合に、なぜそのような規則性がみられるのか、という問いを発し、現象の内在的特質をえぐり出さない限り、単なる記述に終り、またしても究極原因を「神の摂理」に求めることになってしまいます。規則的発見への手がかりを与えてくれるのは、そして内在的特質をえぐり出すのは、それぞれの分野の理論的・経験的知識です。統計学によって森羅万象を解明できるわけではありません。(p.11f)
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://exphenomenologist.blog100.fc2.com/tb.php/517-389def38

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。