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金原礼子『フォーレゆかりの地を訪ねて』

フォーレゆかりの地を訪ねてフォーレゆかりの地を訪ねて
(1997/12)
金原 礼子

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19/20世紀のフランスの作曲家であるガブリエル・フォーレについての本。基本的には伝記的にフォーレの生涯を追っていくのだが、この本の面白いところはフォーレが実際に滞在したところに著者も行ってみて、その土地の情景やエピソードを語っていること。フォーレの伝記と並んで旅行記も兼ねている。記述のタッチは柔らかく、読んでいてとても面白い。フランスやドイツ、イタリア各地のフォーレが旅した箇所に実際に行ってみて、滞在先とされたホテルがいまも存在するかどうかなど調査している。その地での人々との出会いのエピソードも面白い。

学術的な背景はしっかりと持ちつつも、その色合いは薄いので気軽に読める。時折出てくる著者の素のコメントが面白い。例えばフォーレは1875年10月18日付けの手紙で庇護者のクレール氏に両親の旅行費用を出してもらう要請しているが、「他人のお金で親孝行する神経がわからない」(p.128)と著者はコメントしている。また、フォーレは女性にもてたらしいが、移り気で、女性を惹きつけるよりはうまく逃げて乗り換えるのがうまかったようだ(p.293)。なかでも1890年代、マルグリット・アッセルマンという女性にフォーレは高級アパートを与えて住まわせていた(ちなみに互いに既婚者である)。当時、フォーレはパリ音楽院の院長であるが、このマルグリットの父親アルフォンスはそのパリ音楽院のハープの教授である。そしてフォーレは、マルグリットの母親、つまりアルフォンス夫人に『ハープのための即興曲』を献呈している。「つまり、同僚の娘を愛人にし、その母親に作品を献呈しているわけである。筆者のモラルでは、納得ができない」(p.321)。

フォーレの音楽といえば簡素で素朴であり、教会音楽の流れを持ち込んでいる。「フォーレは歌曲においても、器楽曲においても、円熟するに従って、余分なものを脱ぎ捨てて、軽やかさ、素朴なるものを求めていくのである」(p.172)。大編成のオーケストラによる交響曲や協奏曲はフォーレの得意とするところではない(歌劇はあるが)。声楽とピアノの2人の曲であるとか、小編成のミサ曲、4~5人からなる室内楽曲がその魅力である。奢侈や仰々しいところがない。その音楽からは静かで慎ましやかで、あまり社交的でない印象を受けるが、実際はサロンにおいて社交的であり、多数の女性に囲まれ、またパリ音楽院で教育者としての側面も見せている。ラヴェルやドゥカは彼の元から育っていった。フォーレがパリ音楽院の教育を改革して作ったカリキュラムはいまの世界の音楽教育の一つのスタンダートとなっている(p.286f.)。

フォーレについて興味があるならとても良い本だ。個々の楽曲に対する音楽学的な分析はない。そういう側面は例えばネクトゥーの本を読むといいだろう(あまりに大部の本なので自分は最後まで読みきらなかった)。そもそもフォーレに興味のある人がどれだけいるかは謎だが。自分はクラシックの中でもっとも好きな作曲家だが、それを話すと奇怪な顔をされるのが常だ。
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