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久納信之『ITIL V3実践の鉄則』

ITIL V3実践の鉄則ITIL V3実践の鉄則
(2010/02/03)
久納 信之

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最近つとに話題になっているITIL(Information Technology Infrastructure Library)の第3版について、日本の第一人者による本。実践の法則と謳っているが、特に実践的な内容が多く盛り込まれているわけではない。むしろ、ITIL第3版の基本的な考え方や強調点・独自性、第2版との違いがきちんと述べられている。ITIL自体は大部のドキュメントのため解説はどこを取捨するかという問題になるが、バランスよく採られているように思えた。

IT部門の責務とはITの整備を通じてビジネス部門の利益確保に貢献するという捉え方、したがってIT部門はコストセンターではなくてプロフィットセンターであり、そのKPIはかかったコストの金額ではなくて投資金額、ROI/NPVだという考えはとても納得がいく。ITの整備によるコスト削減をITプロジェクトの目標とするのはあまりうまいやり方ではなく、ビジネス部門の利益への貢献が何よりも必要。そのためにはIT部門には、提供しているサービスのサービスマネジャーをはじめとしてビジネスの理解を持つことが必要であるし、顧客としてのビジネス部門もまた、ITへの理解を持ちIT部門をプロフィットセンターとして活かすことが求められる(ITILでは大きく扱われないが、顧客側の責務もまた大きなものだろう)。

IT部門はプロフィットセンターであること、顧客であるビジネス部門とまずSLA(Service Level Agreement)を結ぶことが必要と説く。SLAの重要性の強調はITIL、また本書の特徴的なところだろう。通常はSLAは顧客とIT部門でなく、IT部門と外部ベンダーの間で結ばれることが多い。後者は本書ではC(contract)の問題とされ、また社内の他の部門(ネットワーク部門など)との間にOLA(Operation Level Agreement)が必要とされている。著者も書くように顧客とのSLAの締結後にOLA/Cを結ぶのが理想だが、なかなか難しそうだ。SLAの重要性はなじみが薄いし、学ぶことが多そうだ。

本書は最後のパートに、ITIL準拠でサービスデスクやプロセス、構成管理データベース等を設ける導入プロジェクトの計画書、SLAの例、SLAに基づいた月次サービスレポートの例が挙げられている。この部分は実践的。
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