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森時彦『ファシリテーター養成講座』

ファシリテーター養成講座ファシリテーター養成講座
(2012/11/06)
森 時彦

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ファシリテーションについて。議論のプロセスを設計して主導し、混乱がちな議論を正しい方向へ導くのがファシリテーションだ。局所的には会議の司会進行役になるだろうし、大きな場面では企業文化の改善などにもその方法は必要とされる。

ファシリテーションについてIQ的な側面だけでなく、EQ的な側面も必要だと捉えられているのがいい。とはいえ、EQ的な側面は第3章で取り上げられるだけで、しかもリーダーズ・インテグレーションの説明に大きく当てられている。あとはIQ的な側面となるのだが、たいがいは議論を整理するための技法の解説だ。これだとファシリテーションだけでなく、スライド作成の枠組だし戦略思考と呼ばれるようなものの範疇に入る。ファシリテーションの要素が強い記述としては例えばSWOT分析を用いる時、いきなり四つの象限を考えだすのではなくて、一つづつに区切って時間を取るなどの解説もある(p.155-163)。

だがファシリテーションに重要なのはEQ的な側面だろう。そもそもファシリテーターが議論の流れに関与する、という立場を確保するのはそんなに簡単ではない。ファシリテーターへの信頼(あるいは権力)が必要で、そうでないと全然関係ない話を持ち込んできたと思われたり、議論を管理されていると思われて反感を抱かれたりする。本書の記述で言えば、製品の重大欠陥によりクレームが殺到しているコールセンターで、上司がやってきていきなりビジョンの策定の話を始めている(p.149-154)。これなどファシリテーターに相当の力(この場合は権力)がなければ不可能だ。力の無い人がいかに明確な議論図式でやろうとしても、そもそも何も始まらないのだ。ファシリテーターの想定するやり方で進めるという、ファシリテーターの存在への合意が実はかなり難しい。いい本だと思うのだが、そもそもファシリテーションを行うスタートラインに立つことについての記述は薄い。
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