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大野耐一『トヨタ生産方式』

トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざしてトヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして
(1978/05)
大野 耐一

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言わずと知れたトヨタ生産方式の名著で、第一人者が平易に記述したもの。とても分かりやすく書いていて、製造業に携わる者でなくとも学ぶことがたくさんある。トヨタ生産方式の内容について書かれているのは本の前半で、後半はその由来やフォード・システムとの比較。集中して読むべきところは前半の130ページほどにまとまっている。

面白いところは随所にある。前工程から後工程へのつなぎは、バトンリレーだと書いている(p.47-49)。つまり、水泳のリレーのように前者が到着してから後者がスタートするのではなく、バトンリレーのように並走する期間を設ける。前者に多少の遅れが合った時は並走期間の早い段階で後者が受け継ぐ。これはつまり前者の遅れをカバーすることだ。また、カンバンを取り入れることは多能工化を導く(p.67-73, 175-177)。カンバンで前工程に渡される必要量が大きく変動すると、前工程は混乱し負荷がかかる。カンバンを用いるということは、後工程の生産量の平準化が必要となる。前工程が生産する物の使用量を後工程が平準化するというということは、一度に一品種を大量に作る(同じ部品を大量に消費する)のではなく、多品種を少しづつ作ることになる。したがってラインに多品種が混在することになる。するとこれに対応して、前工程では段取りを短くし、多能工化することになる。

省力化、省人化、少人化の概念区分(p.120-123, 208f)なんてのも面白い。省力化は作業者一人にかかる負担を軽減するもので、作業者の作業におけるムダが増える。省人化は多能工化を進めてそれぞれの作業者の作業を集約し、作業に必要な人数を減らすこと。少人化はさらに、作業に必要な定員をなくす。機械の操作に必要な人数とか並行して進めることが必要な作業などがあれば、その分、作業に必要な定員が生まれてしまう。こうした定員を、機械の改修や作業の組み換えを通じて減らすことが少人化。

まさに現代の古典と言えるような本。IT系でも例えばアジャイル開発でその名もKanbanという手法があったりして、単に製造業の話と考えずに見るべきものはたくさんある。
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