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法制執務用語研究会『条文の読み方』

条文の読み方条文の読み方
(2012/03/10)
法制執務用語研究会

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法律や政令、規則などの法令において使われる独特な言い回しなどについて解説したもの。通常こうした本は、弁護士を始めとする法律を解釈する人が書くことが多い。本書の執筆陣は衆議院法制局と衆議院憲法審査会事務局のメンバーからなっている。つまり立法、法制執務の立場から書かれている点でとてもユニークだ。実際の法律の作り手から、云々の法律の文言はこういう使い分けがなされているとか、こうした言葉が使われているときは立法者はあるニュアンスを込めている、などと解説されている。実際の様々な法律を引きながら逐一解説されている。

本書は二つの部分に分かれ、第一部では法律一般がどのようになっているかが書かれている。立法に関わる立場から、法律はどのような過程を経て成立、公布、施行されるのか。どうやって修正、廃止されるのか。また本則や附則といった法律内部の構造はどうなっているのか。特に、附則に書かれる経過措置の重要性について強調されている(p.14-16)のが目に留まる。また両院協議会についても。昨今のねじれ国会などで両院の意見が分かれた時、両院協議会において話し合われるのだが、元々意見が分かれたのだから両院協議会でそう簡単にまとまるわけがない。実際には事前にそのようなことがないように調整がなされているのであり、両院協議会の機能不全を嘆くより、そうした調整の活動に目を向けよ(p.23)と書かれている。本書は単に法律を解説した本に見えながら、ところどころこうしたきちんとした主張が見られるのが好ましい。

さて第二部は一見同じ意味に見えるような法令用語について、その違いを解説している。例えば、「その他」と「その他の」は違う。「その他」は単に並列で言葉を結んでいるだけ。しかし「その他の」はその前に置かれる文言が例示であることを示しているので、実際に何が規定されるべきなのかは下位法令によって規定される必要がある(p.37-39)。同様に下位法令に大きな影響をおよぼすのが「なおその効力を有する」と「なお従前の例による」。これは旧法の規定が新法の制定後も有効であることを示す文言だが、「なおその効力を有する」は旧法そのものが有効だが、その有効範囲は旧法の規定だけにあって下位法令には無いという。したがって下位法令について経過処理などの規定が必要だ。「なお従前の例による」の場合、従前の例として下位法令を含めた法体系の効力を新法が引き継ぐ。したがって旧法は無効となる(p.107-109)。本書に取り上げられている文言は、すべて重大な差異を生じるものであるわけでなく、適用場面が決められているだけで、そんなに違いのないものもある。

確かにこうした細かな、だが重大な法令用語の差異は解説してもらわないと分からないものなので、とても役に立つ本だ。法学部の一年生とか、法律をきちんと読む必要にかられた自分のような人に役立つ。
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