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今井昭夫、岩井美佐紀『現代ベトナムを知るための60章【第2版】』

現代ベトナムを知るための60章【第2版】(エリアスタディーズ39) (エリア・スタディーズ)現代ベトナムを知るための60章【第2版】(エリアスタディーズ39) (エリア・スタディーズ)
(2012/10/30)
今井 昭夫、岩井 美佐紀 他

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ベトナム社会主義共和国について、多くの著者が多くの視点から書いた本。それぞれ2~4ページほどの計60章にわたって、歴史、文化、経済、政治、映画、文学等々、様々なトピックが書かれている。読みたいトピックを重点的に読んでいけばよいかと思う。例えばファッションの動向(露出の多い服を好む傾向、韓国メディアの影響など)は類書になく簡潔にまとまっている。

この国も地理上明確だが、中国からの影響を多く受けている。そもそもベトナムという国名は、越南と漢字で書くように、(春秋時代にあった)越の国の南にある国であり、1804年に当時の清国皇帝である嘉慶帝から与えられた国名だ。現代ベトナムを語る上で欠かせないのが、フランスによる植民地支配と、アメリカとのベトナム戦争を含むベトナム独立運動、カンボジア紛争、そして1986年からのドイモイ政策だろう。これらの事柄については意外にもあまり紙面を割かれておらず、他のトピックと同様の扱いとなっている。

ベトナムはキン族(京族)が多数を占めているが、少数民族も多い。独立運動の際には対米戦争のために諸民族を動員したため、ベトナムのための諸民族だった。また社会主義体制のもとでは民族問題は重きを置かれていなかった。現在では少数民族の認知と保護を進め、諸民族のためのベトナムへと移行しつつある(p.57f)。とはいえ、例えば国家公安はいまでもベトナム戦争で全国民を動員した残響を引きずっており、暗い部分をなしている(p.282-286)。

また、あれだけ国土が南北に長く、およそ3260kmにも及ぶ海岸線を持つのに、キン族はあまり海が得意ではなかった。これはキン族が主に居住した北部ベトナムにあるトンキン湾(バクボ湾)は閉鎖的な内海であり、霧も多くあまり有効活用されてこなかったことに由来するようだ(p.104-107)。

日本のテレビ番組の影響で、メイドが「おしん」としてベトナム語になっていて、こうした「おしん」たちがアフリカから台湾まで広い範囲に海外メイドとして働きに出ている(p.189-191)。同様にして、国際結婚で多くのベトナム人が海外に渡っており、文化の違いやDVなどで問題を抱えている。また、ベトナム統一でのサイゴン陥落後、また中越戦争での関係悪化で華僑が多く脱出したため、ベトナムには華僑があまりいない(p.363)。このことは企業がベトナム進出する際にパートナーとなる現地の会社を見つけにくい原因となっている。
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