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日経BP社出版局編『クラウド大全 第2版』

クラウド大全 第2版クラウド大全 第2版
(2010/04/22)
日経BP社出版局

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クラウドサービスについて、記者や各ベンダーの人間が様々な観点から記したもの。クラウドの歴史からSaas/PaaS/IaaSを展開するGoogle、Amazon、Salesforce、Microsoftの各サービスの概要。また、分散処理の技術的内容としてMapReduceやHadoop、NoSQLといった技術が解説されている。概要レベルの記述から、画面のスクリーンショットやコードも出てくるような記述まであり、様々。

書かれている内容はクラウドよりも仮想化技術、分散処理技術、キーバリュー型データベースなどにある。これらはクラウドサービスとよく一緒に登場するが、クラウドサービスに必須のものではない。例えばサーバ仮想化は自社のデータセンターでやることもできる。クラウドという言葉自体がそもそも明確ではないが、これらを除いた後にクラウドとして何が残るのか(そしてそれがASPやハウジングサービスなどと何が違うのか)はよく分からない。

F. Gillettの論文を引いてクラウドには二つ、すなわちサーバークラウドとスケールアウトクラウドがあるという整理がされている(p.258-264)が、こうした概念整理が冒頭にあったほうがよいか。サーバークラウドは旧来のアプリケーションを動かすのによく使われ、性能を向上させようとするとスケールアップが主流。スケールアウトクラウドはその名の通り、スケールアウトが可能であって、スケールアップでは間に合わないような指数関数的規模で増加するデータを扱う。興味深いのはサーバークラウドには仮想化の利用が多いとされつつ、スケールアウトクラウドには仮想化はオプションだとされていること。サーバークラウドは従来の物理サーバを仮想化で集約するようなイメージだろう。従来の物理サーバを基礎としたもので仮想化もしないものは、ただのハウジングサービスだ。それをプライベートクラウドと呼ぶ会社もあるが。

他にはIaaSを構築する技術として、EucalyptusとLibraの解説が面白かった。これは各仮想サーバを束ねるノードコントローラとは別に、その上位層としてクラスタコントローラやクラウドコントローラを設ける。そのことによって各仮想サーバの監視や起動などを抽象化して、異なるIaaSも(APIが対応している限り)取りまとめて一つのものとして扱うことができる。ベンダーロックインのおそれにも応用できるだろう。

この本自体は2010年刊であり、情報として古い印象を受ける。第二版だが、記述には2008年の当時のものも多くみられる。

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