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榎並利博『マイナンバー制度と企業の実務対応』

マイナンバー制度と企業の実務対応マイナンバー制度と企業の実務対応
(2014/06/09)
榎並 利博

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タイトルから想像して、マイナンバー制度導入に伴って民間企業が実務対応しなければならないことが詳説されているのかと思うと、期待外れになる。実務対応の要件は確かに書かれているが、それは序章の9つのチェックポイントと、第二章に書かれているのみ。第二章も特定個人情報保護評価についての分量が多い。それ以外は一般的な仕組みの解説、条文解説、今後の展望などが書かれており、企業の実務対応を目して読むとポイントが散逸していて読みにくい。

民間企業の実務対応に焦点を絞って書くなら、金融機関とそれ以外で章分けするくらいに分離し、また企業年金・健保組合とそれ以外で分離して書くだろう。また、導入スケジュールはもちろん書かれているが、それ以外にワークフローや帳票・入力画面のサンプルなどが書かれていると助かる。特定個人情報保護評価についてはしっかり書いてある本が少ないので、この本の記述は役に立つだろう。本書の後半部分は特定個人情報保護評価についての申請書をサンプルを用いて書き方を100ページほどにわたって指南している。

とはいえ、記述がやや分かりにくい。例えば、法律ではAとBとCが必要であるとされているが、AとBは云々だから、Cが必要だろうのような記述があったりする。もちろんこれはマイナンバーの仕組み自体がまだ(残り1年半なのに)決まっていないところもあるために、現状で推定できる事項を書いたため。しかし記述の分かりやすさからは、必要なのはCであると書いてあるべきだろう。情報保有機関(健保など)が情報提供ネットワークシステムへの接続に当たって用意しなければならない設備(p.121)などにそのような記述がある。

今後の展望(マイナンバーの民間利用開放)については、著者自身が関心があるのか医療分野の話が長い(p.207f)。また各国の類似の事例がまとまっていて、ここは大いに参考になる。文化の違いからか、また国家管理の必要性からか、各国でマイナンバーに類する共通番号の程度は様々だ。年収や納税額を含めて誰にでも(世界中に)公開しているノルウェーのような驚く事例(p.234)もあるし、ネット上での選挙投票を可能にしているエストニアのような貴重な事例もある。現金の領収書まで補足する韓国の制度は、通貨危機により課税捕捉範囲を広げる必要があったとはいえ、インセンティブもうまく組んであって面白い(p.240-247)。

著者はマイナンバーを始めとする個人情報についてはかなりの利用推進派なので、持論では怪しいところもある。例えば、企業がDMを出したいときに自治体に依頼して、指定した特性を持つ住民にDMを送るという構想が書いてある(p.253-255)。いわば自治体が名簿業者になるようなものだ。著者は経済に貢献するし良いと書いているが、すぐに賛成できる人は少ないのではないか。これは目的外利用ではないか、という疑義については、各自治体の個人情報審議会が承認すればいいだろうとのこと。審議会の判断についての性善説で、とてもナイーブに見える。審議会なんて人のやることであり、その判断は政治的でもあるから、法律でもともと歯止めをかけておくのが良いように思われる。
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