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前川直也、西河誠、 細谷泰夫『わかりやすいアジャイル開発の教科書』

わかりやすいアジャイル開発の教科書わかりやすいアジャイル開発の教科書
(2013/03/28)
前川 直也、西河 誠 他

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自分には分かりやすくなかった。共著とはいえ日本でアジャイルを進めてきた第一線の人たちが書いているし、書きぶりもかなり平易だ。なにより著者の熱い思いが伝わってくる。逆に熱い思いが先行してあれもこれも語ろうとし、全体のピントがぼやけて空回りしている感がある。わかりやすいアジャイル開発の教科書なら『アジャイルサムライ』か『SCRUM BOOT CAMP』がよいと思うが、本書の参考図書一覧になぜかこの二冊はない。

おそらく著者自身がアジャイルを単なる開発技法ではなく、「ソフトウェアの価値を最大化させる考え方や姿勢」(p.269)とし、何らかの手順ではなく考えるためのフレームワークだ(p.10-12, 267)と考えているからだろう。したがって、明確に何らかの手順でこれがアジャイル開発です、と提示するものではない。とはいえ実際には、中身はXPとスクラムからいくつかトピックを持ってきている。アジャイル開発を特徴づける、タイムボックスからなるイテレーション、ストーリーカードなどを用いた詳細化しない要件定義、自己組織化するチーム、朝会の役割、ふりかえり(レトロスペクティヴ)の重要性などはもちろん語られている。これらは本書の大きな分量を占めているが、それが論点の中心なのだろうか。

共著であるためかややまとまりを欠いていると感じる箇所もある。例えばノウハウについて長めに書かれている(p.13-26)が、いったい何が言いたくて、なぜ本書のここにあるのかほぼ意味不明だった。知識のSECIモデルのことが言いたいのだろうか。さらに、テスト駆動開発とリファクタリングについて、C#のコードを持ち出して分量をとって書かれているが、バランスを欠くように見える。リファクタリングは特に長い(p.171-194)。ちなみにリファクタリング対象になっているメソッド名"Calcurate"は"Calculate"に誤字修正すべきだ。実態を反映していないメソッド名や変数名を変更するのもリファクタリングの重要な要素だ。

畢竟この本の使い方は、タイトルや著者たちの装いにあるようにアジャイル開発の第一歩としての教科書としてではなく、アジャイルを始めている人が疑問に突き当たった時にヒントを求める本としてだろう。そう見るとアジャイル開発という第一義からは外れているように見える、チームビルディングの第4章も生きてくる。チーム内のタスク進捗状況でなく、情緒面のコミュニケーションのために用いるニコニコカレンダー(p.147-150)なんてアイデア、バグが発生するたびにレゴを積み上げて解消したら壊すというバグの可視化のアイデア、レゴブロックを使ったり絵を描いたりというアジャイルプロジェクトの練習のアイデア(p.217-222)など、なるほど面白そうだと感じるものだった。そういったアイデアやTipsのレベルのものでは現場でよく考えられて揉まれている感があり、参考になる。

最後に脇道に外れたことを二つ。「見える化」というバズワードは情報を可視化してその後のアクションを誘発することを目的としており、単なる可視化ではないという記述(p.140)を見かけた。使う人はそういう思いを込めているのだろうけど、この語は組成からして「見えるようにする」という意味であって「可視化」と変わらない。英訳したら結局はvisualizationだし。この破格で醜い単語(自動詞の可能動詞に「化」を付けるセンスのなさ)を字面からはほぼ同じ意味の「可視化」に取って代わって使うつもりにはなれない。もう一つは、他書についても書いたことだが、この本でも「適用」と「適応」を混同していて、「適用」であるべきところがすべて「適応」になっている(正しく「適応」である箇所もある)。この二つを混同する人、案外に多いな。
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