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佐藤義典『実戦マーケティング思考』

実戦マーケティング思考 「論理思考&イメージ発想」スキルを鍛える7つのツール実戦マーケティング思考 「論理思考&イメージ発想」スキルを鍛える7つのツール
(2009/03/21)
佐藤 義典

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良書。論理的に整理して考えることと、具体的なイメージを用いて発想することのバランスを取る方法について書いている。収束と発散の技法。世の中には実現性のあるアイデアを次々と思い浮かぶアイデアマンと呼べる人がいるが、こうしたものは才能ではなくてスキルだ。スキルを習得すれば誰にでもアイデアは出せるのだと著者は言う。
アイディアというのは、切り口を変えて何回も何回も考えると、無限に出るものです。アイディアを出すのは才能ではなく、このようなスキルや方法の問題です。(p.200)


ポイントは論理思考とイメージ発想を明確に区別して行うこと。そしてイメージ発想をいかに具体化するかにあるだろう。論理思考は正確性を確保するが、具体性や肌感覚に欠ける。イメージ発想はその逆。この二つは相互補完的に働いて、具体的で納得性が高いが論理的にもしっかりしている結果をもたらす(p.21-25, 72-75)。

本書は論理思考とイメージ発想を交互に紹介していく。それがそのまま論理的で具体的なアイデアの作り方になっている。論理思考は要素分解(構造、四則演算、フレームワーク)とプロセス分解からなる。要素分解はロジックツリーになるようなお馴染みのもので、プロセス分解はフローで表されるようなもの。プロセス分解は要素分解と違って時間が入るため、具体的な場面をイメージした後で行ったほうが良いものとされている。このように、イメージ発想から論理思考へ至るルートが重要だ。要素分解は何通りもやり方があるが、課題に対して意味のある分解の仕方である必要がある。それを探るためにイメージ発想が役に立つ(p.98-101)。

イメージ発想は静止画、つぶやき、動画という三つの方法が取り上げられている。本書はマーケティングの本なのでこれらは具体的な消費の場面に即していて、分かりやすい。静止画はどのような消費者を想定するかで、属性や身なりがイメージされる。つぶやきはその消費者が何を考えているか、どのようなニーズを持っているか。動画はマーケティングで言うAIDMAのように、どのようにして消費者が消費の場面に至っているかをイメージする。ただしAIDMAそのものに対しては、プロセスの切り方が使いにくいとして別のものを提唱している(p.152f)。ここでのポイントは具体性。いかに消費の場面の言葉で考えられるかが重要となる。例えば自社の強みを「長時間営業」と捉えれるのでなく「いつでも開いてる」と捉えるなど、実際の消費者の言葉でイメージするのがポイントだ(p.110-125)。

論理思考とイメージ発想を紹介した後は、うまくそれらを組み合わせる方法としてモーフォロジカル・アプローチという新規なものが紹介されている。これは各構成要素ごとに発想して多くの要素を用意しておき、それらを組み合わせることによって新しいアイデアを生むアプローチ。例えば4つの要素からなるものがあるとして、各要素で5つの発想ができれば、アイデアは5の4乗で625通りになる。この中には例えば「酒を飲む時 × 子ども」のような意味をなさないものもできるが、それは消せば良いのだ。ちなみにマーケティングといえば4Pだが、著者によれば4Pは戦術に関するもので、戦略をどうするかが先に来るべきだと(p.205f)。たしかにどんなニーズに応えようとしてどこをターゲットとするかが決まってから、4Pが考えられる。

収束と発散の思考方法をうまく使い分けるという点では、前に読んだ『思考を広げる まとめる 深める技術』があったが、こちらはマーケティングの場面に特化して書かれていてより直接的でよい。技法としてはマーケティングに限らない。自分の範囲から言えば、プロジェクト管理文書を作るときには、旧来のものを参考にしつつまず論理的に何が必要かを考え、そして実際にそれを使っている場面をイメージして補足していく。その時には実際に管理文書を扱う現場の人間や、回覧されていくステークホルダーの立場で考えることが重要だ。こうしたやり方は本書に書かれていることと方向を同じくしているだろう。
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