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志賀浩二『数学という学問 III』

数学という学問〈3〉概念を探る (ちくま学芸文庫)数学という学問〈3〉概念を探る (ちくま学芸文庫)
(2013/03)
志賀 浩二

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本巻ではカントルの無限集合論をメインに扱う。数直線や平面といった数の捉え方を離れて、単なる点や要素としての数の捉え方を評価する。また、ボレルによる測度論を経てルベーグによる革命的な積分論を扱っている。

カントルについてはデデキントとの交流を踏まえて、かなり詳細にその展開を追っている。ハレ大学でのハイネの出会いから三角級数の収束の問題に関わり、そこからカントルは無限の問題に引き込まれていく。その発想は、それまでのように区間で実数を捉えるのではなく、数直線上の実数を任意に取り出すという発想である。1874年の論文にある有名な区間縮小法はこの発想のもとにあり、これはそれまでの数学に無かったものだ(p.38)。とはいえ、関数の微分可能性を巡る病的な関数の追求の中にはこうした発想が他の人にもあったのではないか。

前巻にあったジョルダンの測度を引き継ぐ形でボレルの測度論が述べられる。ボレルの発想は、それまで図形に対して考えられていた測度を、抽象的な部分集合から定義した。ルベーグはこの測度論に基づいて積分概念を組み立て、27歳のときそれまでの積分概念とは違う概念を生み出した。著者のルベーグ積分論への評価はかなり高い。
これによって積分という考えは、アルキメデス、ニュートン、ライプニッツ以来の図形の面積を1つ1つ測るという計量的な視点から離れ、関数の変化を大域的に測るという数学における普遍的な方法となったのである。それは現代数学の展開に向けての‘方法序説’というべきものの提示であった。(p.131)


この先には積分方程式について述べられ(といってもこの積分はリーマン積分)、フレードホルムの業績が評価されている。それは積分方程式を連立方程式としてクラメールの公式で展開し、極限を取って収束を示したものだ。この発想が重要であるのは、線形代数の固有値の考えはこれを契機に無限次元の関数空間に広がっていくことになったから(p.150-156)。ヒルベルト空間の話は、こうした関数解析と線形代数の発想のつながりの上にある。

最後はなぜかユダヤ思想の話と、ハウスドルフの『集合論概要』の内容が書かれている。これらはなぜここに収められたのかよく分からない。特にユダヤ思想についてはボーマン『ヘブライ人とギリシャ人の思惟』という古い本の引き写し。そもそも「ユダヤ人」なるものが通史的に存在することへの疑いが何もないし、昔のサピア=ウォーフ仮説ばりの話はそのまま受け取ることもできない。ハウスドルフの話についても他の本文とのつながりはよく分からない。本全体としてのまとまりに少し欠ける。
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